研究室紹介
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量子物理系
現代物理の根幹となっている量子力学をベースに、物質内での電子の振る舞いやさまざまな物質の性質を理解する学問領域です。
数理・統計物理系
さまざまな現象やシステムに対し、物理的・数学的モデルを構築することで、その挙動の裏に潜むメカニズムを明らかにしたり、振る舞いを予測したりする学問領域です。
 
先端デバイス物理系
物理現象を利用して、エネルギーの創成・貯蔵や情報の処理・記憶を行う新しいデバイスを創成する学問領域です。
麻生尚文 講師
地震物理学
誰でも知っている地震の誰も知らない謎 地震という自然現象は、すぐ先を予測することすら容易ではない、複雑系物理現象です。研究対象は、我々の普段感じることのない微小地震から、甚大な被害を及ぼす巨大地震まで。私たちは、地震観測・データ解析・シミュレーションなど、多様なアプローチにより、誰でも知っている地震の誰も知らない謎に迫ろうとしています。
地震という自然現象は、すぐ先を予測することすら容易ではない、複雑系物理現象です。研究対象は、我々の普段感じることのない微小地震から、甚大な被害を及ぼす巨大地震まで。私たちは、地震観測・データ解析・シミュレーションなど、多様なアプローチにより、誰でも知っている地震の誰も知らない謎に迫ろうとしています。
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荒木修 教授
神経回路網の力学と情報処理
1.シナプス可塑性のある神経回路網ダイナミクスによって発現する情報処理機能
2.トップダウン信号によって駆動される刺激反応神経回路モデル
3.意図的行動の神経基盤を解明するための心理学的実験
我々の研究の主テーマは、脳の情報処理を明らかにすることである。 我々は、神経回路網の力学系が脳の認知機能を引き起こすと仮定し、 その機能の発現メカニズムの解明を目指す。これまで我々は、シナプス可塑性のある神経回路網力学系とスパイクパターンの発現パターンとの関係を研究してきた。例えば、海馬の再帰的回路網における可能な記憶メカニズムを示した。
また、神経回路網力学系の状態が、シナプス荷重に記憶された情報の想起に影響を与えることも示した。おもしろいことに、力学系がカオス的であるほど、平均発火率の空間パターンが安定する。生きている動物の皮質において、同期発火パターンが時々観察される。我々は、スパイクタイミングに依存するシナプス可塑性(STDP)が、神経回路網における同期発火の生成に関与しているかもしれないことを示した。計算機シミュレーションによれば、STDPがあれば、特定の時空間パターンを同期発火に変換する神経回路網を自己組織化できるのだ。
現在、我々は、動作の意図に関する問題に、理論的あるいは実験的に挑戦している。これは、動こうとする計画を脳がどのように立案し、行動を起こすのかという問題である。これは、行動を起こす回路がどのようにして自己組織化され、活性化されるのかという問題とも言える。我々は、動作意図が神経回路網の非線形力学系から駆動され、脳内を高速に伝達されていると考えている。
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伊藤哲明 教授 / 小内貴祥 助教
スピン自由度が織り成す物性物理
1.量子スピン系における新奇磁気状態の検出とその解明
2.フラストレート格子を持つ物質群における特異超伝導
3.空間反転対称性の破れた物質群における新たな電気磁気効果
4.核スピントロニクス実現に向けた、核スピン自由度の操作法の開拓
物質中の電子の振る舞いは、電子間相互作用が小さい場合には20世紀中ごろに確立したバンド理論+フェルミ液体論で説明されます。それに対し、電子間の相 互作用が大きい場合(強相関系)は磁性・超伝導などの応用上重要な様々な物性が現れますが、このような領域を現代物理では未だ完全には理解できていませ ん。一つはっきりしているのは、このような磁性・超伝導状態では、電子の持つ内部自由度である「スピン」が重要な役割を果たしているということです。
伊藤研では、強相関電子系、フラストレーション磁性系、強いスピン-軌道相互作用を持つ系など、スピン自由度が重要な役割を果たす非自明な電子相の、核磁 気共鳴(NMR)による実験研究を行っています。物質群としては、有機強相関系・有機磁性体に特に力を入れ、従来物質では踏み込めない新奇な磁性状態・超 伝導状態を見出し、物性物理のブレークスルーを生み出そうという戦略を掲げています。
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岡村総一郎 教授 / 宋俊東 助教
情報・エネルギー素子科学
1.ナノレベルの形状制御によるメタマテリアルの創成
2.量子アニーリングとその応用に関する研究
3.ゆらぎの理論と制御に基づく新しい情報理論・学習システムの構築
スイッチング可能な2つの安定状態を持つ強誘電体は、不揮発性メモリーに応用されています。また、力学エネルギーと電気エネルギーの変換を可能とする圧電体は、振動センサーや発電素子に利用されています。本研究室では、そういった機能材料の解析や形状制御をナノレベルで行うことで、デバイスの更なる高性能化・高信頼性化に取り組むとともに、統計力学を中心とする物理理論との融合により、自己学習や判断を可能とする新しいインテリジェントシステムの構築を目指します。
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木下健太郎 教授/ 鄭雨萌 助教
次世代高性能メモリの研究開発
1.ReRAMの抵抗スイッチング機構の解明及び高性能化
2.固体 + 液体の融合による新規高性能メモリデバイスの創生
3.第一原理分子動力学計算を活用したメモリの設計
4.ショットキー接合型メモリーデバイスの機構解明と高性能化
5.ReRAMの性能評価手法の確立
私たちはパソコンやスマートフォンを始め、身の回りのあらゆる機器を通じて常に情報に囲まれながら生活しています。情報を電子データとして記憶し、高速で処理する重要な役割を担うのがメモリ素子です。加速度的に情報量が増え続ける現代社会を支えるため、メモリ素子の超高性能・高密度化への要求は高まるばかりです。本研究室では、物理学の知識を武器に、人類の叡智を共有し、後世に残すため、日々この課題に挑んでいます。
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齋藤智彦 教授
強相関電子系の電子構造と磁性
1.異常な熱電能を示すCo酸化物とその関連物質の電子構造
2.金属絶縁体・スピン転移を示すCo酸化物の電子構造
3.酸化物磁性半導体の電子構造
4.二重ぺロブスカイト型酸化物の電子構造
一般に知られている金属のうち、Mn、Fe、Cuなどは遷移金属と呼ばれ、Al等の金属とは異なり単体でも化合物でも種々の不思議な性質を示します。例えばFeは強磁性体、高温超伝導体はCu酸化物、超巨大磁気抵抗物質はMn酸化物で、いずれも応用上重要な性質を持つ物質群です。物質の性質は物質中の電子の振る舞いで決定されますが、遷移金属化合物中では電子は互いに強い相関を持って運動しており、この強い電子相関が遷移金属化合物の不思議な物性の起源となっています。
当研究室では、物質中の電子を直接取り出す光電子分光法という実験手法を主に用いて遷移金属化合物の電子状態を解明し、電子相関と不思議な物性との関係を研究しています。
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住野豊 准教授
生命現象・地球現象・工学現象を実験室で模倣し理解する
1.生命を模したアクティブマターの集団運動の実験・数理
2.地球現象を模した粘弾性によるマクロな界面運動の実験・数理
3.工学応用を目指したソフトマテリアルのマクロ特性の理解
非平衡現象・ソフトマターは近年物理学の対象となった新しい研究分野ですが,我々の身の回りを見渡すとありふれた現象・物質です.
ではこれらの対象は退屈かというと,そんなことはありません.非平衡条件では熱対流や結晶成長など自己組織化と呼ばれる美しい時空間構造を形成します.またソフトマターとは高分子・液晶・界面活性剤・コロイドの総称ですが,一見無関係なこれらのメソスケールの秩序構造にも普遍的側面があることが見出されています.このように非平衡現象・ソフトマターとは興味深い物理学の宝庫です.
我々は非平衡現象とソフトマターをクロスオーバーさせ生命・地球・工学プロセスの模倣系を構築し解析することで,単純な数理モデルの構築を行います.これにより一見無関係な現象の普遍的側面を明らかにしようとしています.
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遠山貴巳 教授 / 奥川亮 助教
凝縮系物性理論
1.銅酸化物や鉄ニクタイド化合物の高温超伝導の機構解明
2.フラストレートした量子磁性体の新奇量子現象
3.相互作用が強い電子系での非平衡量子現象
4.強相関電子系のスペクトロスコピー理論
原子や分子などのミクロな世界は、私達の手にすることのできるマクロな世界とは違った法則、量子力学に支配されています。このミクロな法則のもとでは、多数の分子や原子が集まることで、単独の分子や原子の性質からは想像できないほど多彩で豊富な量子現象が現れます。電気抵抗がゼロとなる超伝導現象はその代表例です。
本研究室では、新しい量子現象をマクロな世界に引き出すことを目的に、高温超伝導の機構、遷移金属化合物の量子磁性、非平衡量子現象など最先端のトピックスの理論研究を、理論物理学的手法とスーパーコンピュータを駆使した計算物理学的手法を組み合わせながら行っています。
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中嶋 宇史 准教授
有機機能材料
1.機能性圧電材料の新規創出に関する研究
2.熱電特性評価手法の新規開発 
3.圧電性高分子材料を用いた振動発電デバイスおよび高感度センサデバイスの開発
有機材料はその複雑な階層構造に由来した多彩な機能性を発現することが知られています。本研究室では、柔らかさを特徴とする高分子材料に注目し、その構造と運動の階層性を精緻に制御することで特性の飛躍的向上と新たな機能の創出に取り組みます。有機材料の特徴である優れた可とう性と成形性も積極的に活用しながら、振動や熱を電気エネルギーに変換する環境発電デバイスや高性能センサに関する新たな展開も目指します。
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樋口透 准教授 / 山田庸公 講師
電子・イオンの学理に基づくナノイオニクスデバイス
1.酸化物超イオン伝導体膜を用いた固体酸化物燃料電池の開発
2.電子-イオン混合伝導体を用いた脳型メモリー素子の研究
3.軟X線分光による酸化物イオン伝導体のナノイオニクス現象の解明
4.準結晶の合金開発と構造解析および物性評価
一般の火力発電や原子力発電は、燃料の燃焼により、化学エネルギーを熱として取り出し、機械エネルギーを経由して、電気エネルギーに変換される方式です。しかしながら、電力需要の大幅な増大、化石燃料の枯渇、環境問題の観点から、高効率で環境に優しい発電法が求められており、現在、燃料電池の研究開発が急務となっています。 本研究室では、固体酸化物燃料電池(SOFC)への応用を目的として、実用性に耐えうる固体電解質や電極材料の探索的研究を行います。さらに、電気化学的・分光学的手法による精密な物性計測により、電解質/電極へテロ界面の挙動を研究します。この研究分野は、固体中のイオンや電子の運動を研究対象とする、「固体イオニクス(物理、化学、電気工学、機械工学の学際領域)」に属します。
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宮川宣明 教授 / 加瀬直樹 講師
超伝導物性・結晶成長
1.銅酸化物超伝導体及び関連物質の単結晶育成及び評価
2.銅酸化物超伝導体及び鉄系超伝導体のトンネル分光測定及び輸送特性を通した研究・超伝導体形成に寄与するボゾン・擬ギャップ・CuO2層数依存性・電子-ホール対称性・超伝導、反強磁性共存相
3.銅酸化物超伝導体以外の興味ある超伝導体のトンネル分光研究
4.非銅系新機能性酸化物の探索(Pd系化合物、Ni系化合物、spinel型化合物等)
5.薄膜合成法による新材料探索に関する研究
6.電気二重層型電界効果トランジスタによるキャリアドーピングに関する研究
本研究室は、新規低温物性、新規機能性材料の発見を目指した研究室である。特に銅酸化物超伝導材料を中心として強電子相関系材料の単結晶育成及び低温物性実験、新機能性材料の探索、低温性測定装置開発などの研究を行なう。
本年度は、メインとして銅酸化物高温超伝導体の機構解明および新超伝導材料の発見を目指す。究極の目標は、室温超伝導体の発見であるが、そのアプローチとして、トンネル分光研究を中心とした低温物性測定を行い、高温超伝導機構解明への手掛かりを見出しつつ新規物性の発見に挑み、そこで得られた知見をベースに新規材料開発も行なう。
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宮島顕祐 教授 / 余希 助教
新奇光学現象の創成と制御
1.半導体ナノ微粒子集合体から生じる超短パルス発光
2.レーザー光照射によるスピンダイナミクス制御
3.ピコ秒(1兆分の1秒)の世界で視る電子のダイナミクス
4.パルスレーザー光を用いた半導体ナノ微粒子の作製
本研究室では、光と物質の相互作用の観点から、様々な物質やその構造から生じる電子励起状態やスピンのダイナミクスを明らかにすること、そして物質構造が持つ光機能性(光学非線形性、超高速応答、光誘起磁化など)の探求や新奇な光学現象の創成と制御を目指した研究を行っています。
例えば、半導体ナノ微粒子中での励起子間相互作用や励起状態の研究、高密度なナノ微粒子集合系が光を介して相互作用することで協同的に発光する「超蛍光」の創成とその制御の研究を行っています。
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