東京理科大学 理学部 応用物理学科 樋口研究室


左から、並木(M2), 樋口、川口(M2)、古市(M2). 2017.11/30



◎研究分野 
 酸化物ナノイオニクス/金属材料物性


◎専攻分野
 酸化物ナノイオニクスの基礎と応用
 準結晶合金の基礎と応用 {2018年4月より}



◎研究室概要
  当研究室では,酸化物ナノ構造膜および準結晶の新規材料開発とデバイス応用を目的とした研究を進めています。電気を流さない酸化物誘電体にキャリアー(異なる価数を持つ元素)をドープすることで,半導体的な電子的挙動とイオン伝導性を示すようになります。このような物質は,”ワイドギャップ酸化物半導体”と呼ばれ,「ナノイオニクス」という新たな分野として,近年,基礎研究や応用研究が活発化しています。
 酸化物半導体をナノ構造化・多層化(ヘテロ構造)することで,電子・ホール伝導性に加え,イオン伝導性を飛躍的に向上させることができます。さらに、この挙動を電子構造というミクロなレベルで解明し,半導体デバイス・欠陥化学の概念を応用することで,金属-半導体界面で生じるショットキー障壁を意図的に制御できます。

本研究室では,以上のコンセプトに基づき、

 1. 中高温域で安定に作動する高効率な固体酸化物燃料電池
 2. 人間の脳と類似する新しいタイプの記憶素子(脳型メモリー素子)
 3. イオンの挿入・脱離現象を利用した磁気メモリー素子
 4. 酸化物半導体の多層膜を用いた水素発生(光触媒)
 5. 準結晶の合金開発と構造解析および物性評価

等の研究テーマを軸として研究を進めています。
 卒業研究では,葛飾キャンパスで整備された研究室において,当研究室独自のセラミックスおよび薄膜作製技術を用いて酸化物半導体薄膜とデバイス構造を作製し,各種伝導体の基礎物性からデバイスとしての特性を広く研究することになります。



◎研究テーマの一例
1. 酸化物電解質/電極を用いた固体酸化物燃料電池のデバイス化と発電特性の研究
 中高温域(300〜700℃)で作動する固体酸化物燃料電池の実現を目的として,酸化物半導体のプロトン伝導性と電子-イオン混合伝導性を活かした電解質/電極へテロ接合界面(三相界面)を作製し、電極反応機構を研究します。そして,酸素欠陥・キャリアー・結晶構造を系統的に制御することで,安定かつ高効率な発電特性を実現するための,条件の最適化を行います。


2. 電子-イオン混合伝導体を用いた脳型メモリー素子の開発
 酸化物半導体に欠陥を形成させると,電子-酸素イオンの混合伝導性を有するようになります。この電子-イオン混合伝導体を金属電極で挟み,ショットキー障壁を形成させることで,酸化還元反応に起因する原子スイッチ現象を発現させます。この現象を活かしたシナプス構造を作製し,人間の脳の記憶形態と類似する脳型メモリー素子(短期記憶と長期記憶)を実現します。


3. イオンの挿入・脱離現象を利用した全固体ナノイオニクス磁気メモリー素子の開発
 酸化物イオン伝導体と磁性酸化物の3端子デバイスを形成し,イオンの挿入・脱離によりスピンの制御を可能にします。ヘテロ接合界面および印加電圧や磁場の最適化により,高速スイッチングを有する磁気メモリー素子の高性能化を実現します。


4. 酸化物半導体の多層膜を用いた水素発生(光触媒)
 n, p型酸化物半導体膜を積層させたpn接合膜を作製し、光触媒反応を利用して、水から水素エネルギーを生成させるための研究を行っています。


4. 準結晶の合金開発と構造解析および物性評価
 準結晶は、準周期長距離秩序と呼ばれる特異な構造秩序を持った物質です。金属元素からなるにも関わらず、高い電気抵抗、負の抵抗温度係数を示します。しかし、原子的構造が解明されている準結晶は極僅かであり、構造に基づく物性の理解を得るにはさらなる研究が必要です。本研究では、新しい準結晶を探索し、その構造を決定します。