物理化学Tの後期から、量子化学を学びます。

教科書は「ゼロからの最速理解 量子化学」(コロナ社)をつかいます。「ゼロからの最速理解 量子化学」の訂正箇所

量子力学は完成した姿を見るとあまりにも近づき難いですが、量子力学成立の歴史やそこに現れる物理学の偉人達のドラマは非常に面白いものです。この講義では、量子力学成立までの歴史を簡単に学んだ後、シュレーディンガー方程式の作り方や、それを解いて得られる結果の取り扱いを身につけることを目的として、「一次元井戸型ポテンシャルモデル(一次元の箱の中の粒子モデル)」を重点的に学習します。その後、水素原子の取り扱いのアウトラインを学び、水素分子イオンを扱います。電子が一つだけの対象だけを取り扱うことで、「量子力学のやりかた」を身につけることを主眼としています。

 テキストは「アトキンス物理化学」ですが、講義では佐々木が作製したテキストを用います。これは9月頃から生協で販売します。参考書として「マッカーリサイモン物理化学」(東京化学同人)、「バーロー物理化学」(東京化学同人)、「基礎化学選書12量子化学」(培風館)を薦めます。

 物理化学の勉強は、先ずはどれでも良いですから教科書を徹底的に読んでください。そして「物理化学演習」(荻野、妹尾共著 東京化学同人)等の問題集をやりこんでください。例題の解答を隠して自分で10〜20分は考え、たとえわからなくても解答をよく読んで理解してください。問題はなかなか解くことは出来ず、始めは乗り気になれないものですが、しばらく我慢してやっているとだんだん面白くなってくるものです。物理化学は化学の基本です。物理化学を押さえておけば、有機化学や無機化学の学習も楽になります。


成績は試験の結果を重視します。出席はあまり考慮しません。なぜなら、授業に出る暇があったらその時間で自分で勉強した方がはるかに実力がつくからです。

試験の解答は、ただ計算とその結果を書くのではなく、解答の内容を他人に理解させることを念頭において丁寧な説明を書かなければならない。解答を読むのは「全てを知っている採点者」ではなく「ただの読者」であると想定するべきである。自分の考えを読者に理解させるにはどう書いたらいいか、という観点で解答を書けば、論述の能力を鍛えられる。自分の考えを相手に伝える能力はとても重要なものである。研究をした結果として、画期的な発見をしたとしても、その価値を他人に理解させられなければ何にもならない。理解されないまま埋もれて忘れられ、また誰か他の人が再発見することになるだろう。試験の答案の場合は、解答用紙の面積も時間も限られているので、思うこと全ては書けないだろうが、基本方針としては上記のことに気をつけるのがよい。相手にわからせることが大切である。普段の勉強で問題を解くときは、できる限り長い時間をかけてじっくり考えてみるべきである。一つの問題について一週間くらい考え続けてもいい。そういうやり方をすることで、本当の実力がどんどんついていく。


過去問その1
過去問その2
過去問その3