[2012 年 5月5日 (土)]
  
    新学期が始まる4月は,毎年のことながら忙しく,さらにReza Tavakolと
Joe Ellistonが理科大に来ていた関係で,気がつくといつのまにか4月が終わっていた.ゴールデンウイークに入ってようやく気持ちの余裕が出てきて, 滞っていたいくつかの研究も再開した.さしあたりは,首都大のSergei Ketovと行っているf(R)超重力でのインフレーションと再加熱の研究に集中しており,これについては近いうちに完成するだろう.それ以外にも,3つ 程度のプロジェクトが同時進行中であり,それらも数ヶ月以内に行っていきたいと思う.また,科研費の基盤研究(C)と,ドイツと日本との学振の共同研究事 業(2年間)に,研究代表者として採択されたので,それに関する研究も積極的に行っていく必要がある.6月の半ばにはモスクワへ,ロ シアと日本の共同研究事業の研究分担者として行くことになっており,それに加えて7月の第1週は,ストックホルムで開催される Marcel Grossmann会議に参加する予定になっている.また,6月から8月にかけては,Andreas FinkeというLuca Amendolaの学生が,学振のサマープログラムで理科大に2ヶ月程度滞在することになっている.5月か ら7月の授業期間中は,うまく時間をやりくりしないと何もできないままあっという間に月日が経過していきそうなので,気を引き締めていきたい.

[2012 年 3月17日 (土)]

  
    昨日,イギリスへから日本へ戻ってきた.出張先はロンドンのクイーンマリー大学であり,Reza Tavakolやその学生のJoe Ellistonたちと議論を行ってきた.10日間の滞在であっという間であったが,RezaとJoeは4月に理科大に来るので,そこでも引き続き議論 を行うことができる.今回滞在したのは,
クイーンマリーのゲストハウスであり,宿泊した部屋からは,今年の夏に行われるロンドンオ リンピックのメインスタジアムがよく見えた.ただ,ゲストハウスはシャワーのお湯が出ない日があり,他のビルのシャワーを使用して くれといわれたので,そちらに行っても風邪をひきそうなくらいお湯がぬるい.また洗濯を週末にしようとして,ゲス トハウスの隣のlaundryに行ったが,まず2ポンドでカードを購入し,それを使おうとしても洗濯ができない.このカードでまずはインターネットに接続 し登録してからではないと使えないと言われ たので,部屋に戻って情報を入力すると,最後に最低10ポンド支払うようになっている.短期的な滞在で1回しか洗濯機を使わないのにも関わらず,このよう なシステムになっているのには閉口した.これに加えて,日曜日はインターネットがつながらなくなった.この1件で,2003年に ポー ツマスに滞在して日常生活でかなり苦しめられたことを思い出した.イギリスでは,家をはじめとして古いものがよいとされており,未だに給湯のシステムは旧 式の古いものを使っている.地下鉄も時刻表などは存在せず,ランダムに電車が来て,電車やバスは頻繁にキャンセルされる. 9年前とほとんど変わらない現実に直面し,ロンドンオリンピックははたして大丈夫かなどという要らぬ心配をしてしまうが,国の威信 がかかっているようなことはしっかりとやるのだろう.
 イギリスに行く前は,京都と別府の会議に参加していて,Antonioをはじめとするいろいろな方々と議論できた.ここ1ヶ月ほど,あまり落ちついて計 算ができなかったので,腰を据えて研究行って行く予定である.来週末に物理学会があるが,4月の10日くらいになるまでは授業がないのである程度まとまっ た時間をとることができる.また,8月の8日から12日まで中国の威海で開かれる研究会に誘われたので,それに参加する予定である.これ 以外にもパキスタンで開かれるサマースクールに講師として呼ばれたが,それは授業期間なのでお断りした.今年は特に海外出張が多く,最低7カ国は訪問する ことになりそうである.


[2012 年 2月11日 (土)]

  
    1月26日から2月5日まで,タイの
ナレスア ン大学に研究出張で出かけていて,Antonio De Feliceさんたちといろいろと議論をしてきた.バンコクに着いたときの温度は30度くらいあり,急に冬から夏に変わったようなものでしばらくは慣れな かったが,数日すると心地の良い気候と感じるようになった.特に夕方は25度程度で過ごしやすく,Antonioと昼に議論した後,毎日のようにレストラ ンに出かけた.Antonioは,こちらに4月から家族がくるまでは一人暮らしであり,そのためあまり食事をとっていなかったようで,かなりやせてしまっ ていた.私が滞在中も,彼は夕食をほとんど取らないときが多かったので,こちらもあまり多く食べるわけにはいかず,日本に戻ると私の体重も1kg以上減少 していた.いずれにせよ,有意義な研究出張で,これからやるべきことをセットアップできて良かったと思う.Antonioは,2月の終わりから3月の初め に京大で開かれる会議にも来るので,そこでもまた会うことができる.タイ滞在中に,重力とスカラー場の微分項が結合しているインフレーションシナリオにお ける観測的な制限の論文を投稿し,現在ではい くつかのプロジェクトを同時進行で進めている.
 
日本に戻ると,入試業務その他の仕事が目白押しで,今週は土日も大学に出勤という状況である.また, 科研費の予算執行の締め切りなども迫っており,タイから帰って来てからはなかなか落ち着かない日々を過ごしていた.
来週はもう少し時間が取れるので,いくつかの研究を再開したいと思う.その翌週は,別府での会議や卒研発表などがあり,その後も京都やロンドンへの出張が ある.2,3月はこのように様々な会議などで忙しいが,ちょうど授業がなく研究に集中できる時期でもあるので,新学期が始まるまでうまく時間をやりくりし ていきたい.


[2012 年 1月7日 (土)]


 新年になると,毎年,気が引き締まる思いになり,一日一日を大切にしていこうという気持ちになる.年をとるのに伴い時間の経過が早く感じるようになり, 理科大に来てから気づいてみればもう4年になる.新しく足を踏み入れたい研究分野も
いろいろとあるのだが, なかなか時間が見つからないというのが現状である.師走から1月にかけては,現代宇宙論講義の執筆も手がけており,毎日少しずつでも進んでいくしかない. 研究に関しては,2週間ほど少しご無沙汰していたが,また開始し始めた.たまに少し立ち止まり,いろいろな論文を読むとまた新たな視点から研究を進めるこ とができるので,そのような時間も必要である.
 授業はあとは1月11日の2コマのみであり,17日から後期試験が始まる.26日から2月5日までAnotnioのいる
ナレスア ン大学に共同研究で行く.その後2月に入ると忙しくなり,入試業務,修論発表会,卒論発表会などいろいろある.2月21日から23日は,別府で開かれる超 弦理論と宇宙論の会議に呼ばれ,また2月29日から3月3日は京都で開かれる会議に行く.3月4日に二部の入試があり,6日から16日までイギリスのク イーンマリー大学に共同研究で行くのでなかなか忙しい.また,3月24日から27日の物理学会で発表をする予定であるが,24日のセッションの一つの座長 を依頼されたので,前日の23日から行く必要がある.このように,1月から3月は出張がかなりつまっているので,時間をうまく使って研究に取り組む必要が ある.


[2011 年 11月27日 (日)]

 もう師走が迫って来ていて,ここ10日間ほどで急に寒くなってきた.ドイツから戻ってきた後はいくつかの研究に集中していて,
Horndeski の一般的なスカラーテンソル理論での宇宙論的な有効性についての論文,Antonio De Feliceさんとともに10月の半ば過ぎに書き終えた.それ以外に,Antonioと学生の加瀬君とともに,ス カラーテンソル理論でのヴァインシュタイン機構についての研究を行い,この論文は最近書き終えて,arXivに投稿した.こ こ1週間ほどは,Antonioとともに,ガリレオンを拡張した暗黒エネルギー模型に対する観測的な制限と密度揺らぎの進化の研究 を中心に行っている.また,いくつかの論文が続けてacceptされたため,ここ1ヶ月ほどで4編ほどの校正を行った.例年,年末が近くなると特に忙しく なるのは変わらない.
 この時期になると来年度の出張の予定も徐々に決まってきて,さしあたり3月に,英国のクイーンマリー大学と,関西学院大学で開かれる日本物理学会に行く 予定である.それ以外にもAntonioとの共同研究のために,タイのナレスアン大学への訪問も考えている.8月にブラジルで開かれるという国際会議に呼 ばれたので,初めて南米に行くことになりそうである.このメールをもらってから1週間くらいして,別のブラジル人から11月にリオで開かれる会議にも呼ば れたが,これは授業期間中で体力的にもきついので申し訳ないが断ることにした.これ以外にもMartin Bojowaldと
Mariuz Dabrowskiから,9月頃にそれぞれスウェーデンとポーランドでの会議を予定 しているので来ないかと誘われたが,この辺りに関してはまだ未定の状態である.

[2011 年 10月15日 (土)]


 10月3日から10日まで,ドイツのハイデルベルクで開かれた,暗黒エネルギーと暗黒物質に関する国際会議に行ってきた.会議の一日目の10月4日 に,知り合いのJulien Lesgourguesが話をしているときに,突然Rocky Kolbが挙手をして重要なアナウンスをしていいかとJulienに聞いた.Rockyは,Saul Perlmutter, Brian Schmidt, Adam Riessの3人に2011 年度のノーベル物理学賞が与えられることになったと言い,会場は拍手に包まれた.彼ら3人(2つのグループがある)は,現在の宇宙が加速膨張をし ているということを,Ia型の超新星の観測から1998年に独立に示し,学会に大きな衝撃を与えた.その後も,超新星以外の様々な観測から,宇宙の加速膨 張を引 き起こす暗黒エネルギーの存在が強く示唆されており,宇宙の加速膨張を最初に発見した
彼ら3人は,十分にノーベル賞に値すると思 う. Brian Schmidtとは南アフリカとインドで会ったことがあり,特にケープタウンのテーブルマウンテンに, 2001年に一緒に登った思い出がある.この山はかなり険しく, 登るのにかなりの体力を要したが,Brianは元気に登ってい て,途中で私が少し遅れかけたときも,``Shinji, are you OK?'' などと気さくに話しかけてくれた.とにかく体力のある陽気な人だった.
 ハイデルベルクの会議では,自分の発表は3日目にあり,Horndeskiの一般的なスカラーテンソル理論での密度揺らぎ(論文arXiv: 1108.4242)と,ゴー ストと不安定性を避け る条件についての話をした.Ed Copelandがすでに
Horndeskiの作用の話をしていたので,ある意味やりやすかっ た.C. Skordisからベクトルモードの非ゴースト条件はどうなっているか聞かれたので,共同研究者のAntonioにその話をして,その後調べたら,スカ ラーとテンソルから出てくる条件に特に新たな条件は加わらないことが分かった.この仕事は,来週中までには終える予定である.会議が終わった翌日の土曜に は,会議のorganizerであるLuca Amendolaに 彼の自宅に招待してもらい,久しぶりに彼の奥さんのEmanueraと息子のDavide君に会った.彼は,2009年からハイデ ルベルク大学に教授として移ったのだが,家族も含めてハイデルベルクでの生活に満足しているとのことであった.確かに自然と調和し た美しい町であり,多くのレストランやカフェが軒を連ねている.Lucaの家のすぐ近くにあるスーパーに行ったのだが,手頃な値段 で買える数多くの食品や飲み物がおかれていた.LucaやChristof Wetterichらとの共同研究で,またハイデルベ ルクに来たいものである.
 

[2011 年 9月25日 (日)]


  この2ヶ月半の間は,タイのピュサヌロック,富士吉田,名古屋大,ギリシャのNaxos島と出張が多かった.ギリシャからは5日前に戻ったのであるが,い まだに時差ぼけのためかあまり体調が良くない.1週間後には,国際会議でドイツに行くので,またヨーロッパの時間に逆戻りすることになる.ギリシャでは, 最初の5日間はアテネ工科大学に滞在し,Lefteris Papantonopoulosたちと議論してきた.ギリシャは夏の時期は雨が全くといっていいほど降らず,雲一つない青空の日が3ヶ月は続くそ うである.アテネから,国際会議が開かれたNaxos島へは,会議の主催者であるLefeterisや秘書とともにフェリーで向かい,会議が始まる前日に 到着した.この島は,まさに紺碧の海と青い空で,絵に描いたような地中海性気候である.レストランやカフェがたくさんあり,しかも料理のボリュームがある 上に安価である.学生の大橋さんや加瀬君も会議に参加していて,二人とも初めての英語での発表を
無事に終え た.私の発表は最後の2日間であったのだが,その前日に,理科大の第二部物理学科の同僚である和達先生が亡くなられたという衝撃的なニュースが飛び込んで き た.そのメールを見たときはショックで一日中落ち込んでいたのだが,それが発表に影響するのはよくないので,翌日は気を取り直してなんとか発表を行った. 日本に戻ったのは19日の夜で,和達先生の通夜になんとか間に合った.先生はガンであったのだが,そのことを理科大の周囲の人々に 全く話しておらず,私も先生の死後に始めてそのことを知った.おそらく,自分が弱っている姿を周囲に見 せたくなく,最後まで大学教員としての仕事を全うされたかったのであろう.未だに先生の元気な顔と冗談が頭の中に鮮明に残っており,先生の意志を継いで物 理に真摯に取り組んでいくしかない.
 また,2年間理科大に滞在したAntonio De Feliceさんが,
タイのピュサヌロックのナレスアン大学に常勤の講師として就職が決まり,一昨日に彼の送別会を 行った.
Antonioが研究室にもたらしてくれたものは極めて大きく,研究についてはもちろんのこと,コンピュータやその他のことでも本当にお世話になった.彼 を失うのは本当に大きな痛手であり,彼との毎日の議論ができなくなるのは寂しいが,就職が決まったのはめでたいことなので悲しむべきではないだろう.彼が タイに行ってももちろん共同研究を続けていくつもりであり,今後,
ピュサヌロックを訪問する機会も増えるだろう.

[2011 年 7月9日 (土)]


  6月は休日がなくしかも気候が暑くなってくるため,例年疲れがたまってくる時期であり,今年も例外ではない.4月初旬から,一度の休講もなく毎週4コマの 授業とゼミを行ってきており,気づくとあと少しで前期の授業も終わりである.実は7月16日から26日まで海外出張をするので,
授 業が終わっても落ち着く暇もあまりない.その後は,7月29日に早稲田でのセミナー,8月3日から6日までは富士吉田での会議,8月17日から23日まで は名古屋大に出張する予定である.9月も2週間程度ギリシャに行き,10月の初旬にはドイツに行くので,気をつけていないとあっという間に秋になっていそ うである.
 研究の方は,Martin BojowaldとGianluca Calcagniと行っていたループ量子重力でのインフレーションの研究をようやく終えて,昨日投稿した.これで少しほっとしたと言いたいところである が,Antonioたちと行っている仕事がいくつかあり,そちらの方も進めていかなければならない.授業が終わればもう少し腰を落ち着けて研究できると思 う.今月号の数理 科学に,私の暗黒エネルギーの記事が載ったが,それ以外にもSGC ライブラリシリーズというサイエンス社のシリーズで,現代宇宙論講義という本の執筆を依頼された.前に書いたcambridge 出版の本と比べると,日本語であることも手伝ってもう少しスムーズに書けるとは思うが,時間を有効に使っていく必要がある.それ以外に,galaxiesという新しい宇宙論の雑誌の編集 者を最近依頼された.年間に数本の論文を見てくれればよいと言われて快諾したのだが,実際にどの程度の仕事をすればよいかまだ現状では分かっていないのが 実情である.


[2011 年 5月21日 (土)]

  4月初旬に,台湾の新竹で行われた物理の春の学校に講師として参加したが,帰国した翌日から授業がはじまり,この1ヶ月半ほどはなかなか慌ただしい生活を していた.地震の影響で,ゴールデンウィーク明けから授業が始まった大学もかなりあったようであるが,理科大は通常通り行っている.大学によっては7月の 節電のために,早く授業期間が終わるところもあるらしい.今年の前期は,通常の二部の夕方からの授業に加えて,隔年開講の大学院の宇宙物理の授業が月曜に あり,火曜に大学院生と4年生のゼミ (計5時間程度),水曜に2コマ連続の講義,金曜に今年から初めて担当する物理数学の授業がある.木曜は会議が入ることが多いので,一日落ち着いて研究で きる時間が前期はあまりないが,なんとか時間をやりくりしているという感じである.
 研究の方は,3月に英国に行ったときに,Reza Tavakolとその学生のJoseph Ellistonたちと議論をして進めていたインフレーションの研究が,来週の初めには終わりそうである.これはAntonioも入っていて,ここ数週間 ほどは,CosmoMCを彼と私のコンピュータを使っ て連日走らせていた.
CosmoMCは,学生の大橋さん
とのassisted k-inflationの研究でも使用していて,この仕事は
4月の始めにPRDに投稿し,昨日出版された[PRD, 83, 103522, (2011)].CMBのLikelihood解析は,今後PLANCK衛星の結果の解析などでますます重要になるので, CosmoMCのファイルの内部の構造により精通したいと考えている.BojowaldとCalcagniとの量子重力に基づくインフレーションの仕事 も,来週あたりから行っていく予定である.C. Wetterichとその学生も含めてやろうとしている暗黒物質に関する研究も,他 の仕事に忙殺されて1ヶ月以上手をつけていないので,Antonioも含めてそろそろ始めないといけない.

[2011 年 4月1日 (金)]


  3月10日から20日まで,日英共同研究事業の関係で英国に出張していたのだが,英国に着いて仕事を始めようとした朝に,あの地震の衝撃的なニュースが伝 わってきた.幸いにして家族は無事であったのだが,連日のインターネットによるニュースで日本の混乱している状態が
伝わってくる. しかも,津波による死者と行方不明者の数が増え続け,原子力のニュースもあいまって英国では連日,落ち着かない日々を過ごしていた.世界中のいろいろな知 り合いから大丈夫かというメールをもらい,日本にいないため状況を説明することもできない.Antonioも,奥さんと娘さんとともに電車に閉じこめられ て,11日は家に戻ることができなかったらしい.身の回りで直接的な被害を被った人はいなかったが,地震と津波で亡くなった人のことを思うと,とても悲し い気持ちになる.現状では,東京では電車の走っている本数は通常の80%程度で,通勤時間は非常に混んでいるが,被災地で苦しんでいる人のことを考える と,こんな不便はまったくたいしたことではない.現在の状況が落ち着くまでには時間がかかると思うが,我々は日 本の復興のためになんらかの形で努力していく必要がある.被災地の方々に物資を送ることを最優先し,買いだめをしないという形でも最低限の貢献はできるだ ろう.
 新学期の授業は,4月11日の週から始まる予定で,通常通り行っていきたい.まずは皆が混乱から立ち直り,普通の生活に戻ることが重要である.


[2011 年 1月28日 (金)]

 1月18日に今年度の授業も終わり,現在は試験期間中である.2月に入ると入試も始まり,修論発表会や卒研発表会があるため,授業はないとはいえこの時 期はなかなかあわただしい.1月20日から24日までの短期間,インドのデリーに日印の共同研究で行ってきた.日本から
デリーまでは 通常10時間近くかかり,ほとんどヨーロッパに行くような感覚である.ただし,帰りは強い追い風の影響で飛行機が時速1100 kmを超えて飛ぶので,7時間もかからない.インドに行くときにいつも心配なのは,お腹を壊さないかということであるが,今回はもう6回目で体も慣れたよ うで調子を崩すことはなかった.夏の時期などに1ヶ月以上いれば話は違うとと思うが,考えてみると今までの訪印はすべて12月から2月の冬の時期である.京 大の白水さんと名大の横山さんも一緒で,二人ともお腹を壊すようなことはなかったので一安心である.23日に一日のワークショップ があり,Galileon cosmologyの話をしたのだが,非常に多くの質問が出たので,少しは話に興味をもってくれたのだと思う.また,SamiやSanjayと Vainshtein機構に関する議論を行い,この機構がどのように一般的に働くのかを明らかにする共同研究を,AntonioやRadouaneも含め て行う予定である.
 インド滞在中は,
BojowaldとCalcagniと行っていたループ量子重力理論への観測的な制限の研究の仕上げも行い,昨 日astro-phに投稿した.ルー プ量子重力理論に基づくインフレーションにおいて初期パワースペクトラムを求め,WMAPの7 年目のデータ等を用いて,量子補正に対する観測的な制限をつけた.量子補正の項があ ると,スペクトラル指数のrunningよりも高次の項も考慮する必要があり,試行錯誤の結果,そのような場合でもパワースペクト ラムを解析的に求めることができた.また,Antonioたちとともに,一般的なインフレーション模型での non-gaussianityの計算を進めている.この研究はなかなか計算が大変であるが,なんとか見通しがたってきたとう感じである.


[2011 年 1月5日 (水)]


 新年を迎え,気持ちも新たになっている.12月の後半は,2010年に参加した会議のproceeding3つに時間を取られていたが,なんとか全て書 き終えた.それに加えて,以前にイタリアの冬の学校で行った修正重力理論に基づく暗黒エネルギーの講義ノートを,最近の進展なども含めてかなり以前よりも 書き変えて,arXivに12月31日に投稿した.これは,すでにLect. Notes. Phys. 800, 99 (2010)で出版されているのだが,
arXivのバージョンではより多くの内容を盛り込み,ページ 数も
52ページとなった.研究の方は,
BojowaldとCalcagniと行っているループ量子重力での観測的な制限の話がかなりまとまってきた.CosmoMcを走らせるのは,実に6年ぶ りだったので思い出すのにしばらく時間がかかったが,現在ではだいぶ慣れてきた.Antonioにも,数値計算用の新しいコンピュータを総額50万円程度 で作ってもらって,それを使うとおよそ一日でCosmoMcの1回のrunが終わるという感じである.それ以外にも,k-inflaionのときの観測的 な制限のためにコードを走らせようとしている.また,Antonioと水野君と行っている一般的なインフレーション模型での非ガウス性の研究も進めていく 必要がある.ちなみにAntonioは,明日に日本に戻る予定である.
 今月の20日から24日まで,日印の共同研究でまたデリーに行ってくる.これでインドは実に6回目である.また,3月10日から20日まで,日英の共同 研究でロンドンに行く予定であり,その直後に物理学会,4月6日から9日までは台湾での春の学校での集中講義に呼ばれている.また,ギリシャに9月で行わ れる夏の学校 (6-th Aegean Summer School)でも,2時間ほど暗黒物質と絡めた
暗黒エネルギーの話をす るように依頼された.徐々に2011年の出張のスケジュールが決まり始めたという感じである.

[2010 年 11月23日 (火)]


 一昨日に,上海交通大学で行われたワークショップから戻ってきた.この会議に参加しているのはほとんど中国人で,外国から来ているのは東大の横山さんと 私くらいであった.朝から晩まで中華を食べていて予想通り少し体重が増えたが,hostのBin Wangさんがとても良いもてなしをしてくれたので感謝している.上海は,北京ほどではないがやはり大気汚染はあり,土曜日の朝に10m先もよく見えない 濃霧に見舞われて少し驚いた.この会議の1週間前にも, KEKで別の会議があり,授業の関係で最後の2日間だけAntonioとともに参加してきた.2つの会議では,最近いくつか論文を書いている Galileon Cosmologyの話をした.11月は,2つの会議以外にもいろいろと行事があり,気がつくと今年の終わりまであと1ヶ月と少しになっている.もう今年 はこれで国際会議の予定もないので,12月は授業があるものの少しは落ち着くと思う.
 研究の方は,現在,
Galileon Cosmologyにおける密度揺らぎの話と,Loop quantum gravityでのインフレーションの話を主に進めている.後者の方は,Martin
BojowaldとGianluca Calcagniと共同で行っており,CosmoMcというCMBに関するLikelihood codeを, Antonioのコンピュータを使って走らせている.ただ,
Antonioにあまり迷惑をかけたくないので,新しいコンピュータを 購入することを決めた.幸いにしてAntonioが,各部品を取り寄せてコンピュータを組み立てる方法
に詳しいので,あまり費用をかけずに
コンピュータを作ることができる.10月19日に, Radouane Gannoujiが日本学術振興会外国人特別研究員PDとして来日したが,彼も最近,同様の方法でコンピュータを購入した.Radouane も日本での生活にようやく慣れてきたようで,現在は客員宿舎に滞在しているが,12月の始めに賃貸の家に移る予定である.彼とAntonioと始めようと しているプロジェクトやそれ以外の研究もあり,そちらの方にも手をつけていく必要がある.


[2010 年 10月9日 (土)]


 先週は韓国の大田での国際会議に参加してきた.これは昨年度も同じ時期に開催されて,今年も開催場所まで同じだったので迷うことなく無事にホテルに到着 した.ちなみに韓国への出張はこれで4回目である.前日の水曜日に授業があったため,木曜からの参加で日曜に帰って来るという短期滞在であったが,会議は 充実したものであったと思う.自分のトーク中にもかなり多くの質問が出たので,予定の時間よりもオーバーしてしまったが,話に興味を持ってくれたようなの で満足している.会議では,近畿大の太田さんや京大の笹倉さんのように,素粒子寄りの研究をされている方々も参加されていて,宇宙論との接点を深める意味 でも良かったと思う.最近は特に出張が多かったが,今から1か月くらいして,KEKで開かれるワークショップでまた トークがある.今日,Bin Wangという中国人からメールが来て,11月18日から20日で上海で開かれるワークショップでの
トー クを依頼された.偶然,文化祭と重なっていて授業がないため,問題なく参加できると思う.
 今週のはじめに,Savvas NesserisとAntonio De FeliceとやっていたGalileon cosmology の観測的な制限の論文を終えて,astro-phに投稿し た.それ以外にも,
David PolarskiやDavid Motaたちとやっていた仕事もほぼ終わりに近づいている.最近は,
Loop quantum gravityに基づくインフレーションでの密度揺らぎの研究にかなり精力を注いでいる.他にもいくつかやるべき研究があるのだが,やはり後期の授業が始 まると,いろいろと仕事があるので,なかなかまとまった時間を取るのが難しい.週末に,雑用も含めてやるべきことを整理しているという感じである.

[2010 年 9月27日 (月)]


 9月は出張が多く,7日にKEKに,8日から16日までタイに,21日から25日まで京都に行ってき た.京都で開かれたJGRG会議は, 大学院時代の指導教官の前田さんの還暦祝いも兼ねていて,盛大に行われた.前田研を卒業した方たちや現在所属している学生たちも多く来ていて,いろいろな 人たちと話をした.考え てみれば自分が前田研に入ったのが1996年なので,前田さんはその頃は40代の半ばでまだ若かったのだなと今にして思う.現在でも前田さんはとても若く 見えるので,今後も活躍されると思う.JGRGでの自分の講演は最終日で,人が減っていたが,なんとか無事に終えたという感じである.実は,今週の木曜か ら韓国の大田での会議にまた出張があり,それを終えてようやく少し落ち着くという感じである.とはいっても,すでに大学の後期の授業が始まっているため, 大学の業務やゼミなどでも忙しくなりそうである.今年は,Cosmo 国際会議が今週に東大で行われるのだが,忙しいため残念ながら参加することができない.
 この一ヶ月はあまり腰を落ち着けて研究ができなかったのだが,さしあたりGalileon cosmologyの観測的な制限の研究と,有効なChameleon模型での密度揺らぎの研究をほぼ終えようとしている.前者は韓国に行く前になんとか したいと思っていたが,もう少し時間がかかりそうである.ちょうど現在,Gianluca Calcagniが理科大のゲストハウスにCosmo会議のために滞在していて,彼とMartin Bojowaldと以前からやっていた,Loop quantum gravityに基づくインフレーションでの密度揺らぎの研究に関しても議論をしている.それ以外にも,タイでBurin Gumjudpaiと議論した研究や,Generalized Brans-Dicke理論に基づくダークエネルギー模型の観測的な制限の研究なども行っていく必要がある.まだ韓国でのトークの準備を完全に行っていな いので,今週の水曜日までに終えようと思う.


[2010 年 8月31日 (火)]


 8月15日から21日までデンマークのコペンハーゲンに,21日から28日までイ ギリスのポーツマスに滞在し,30日の朝に日本に戻ってきた.デンマークもイギリスも涼しく,日本の11月くらいの気候だったの で,日本に戻るととても暑く感じる.コペンハーゲンには,ニールスボーア研究所で開かれた会議に呼ばれて 行ってきた のだが,スピーカーに多くの質問が出るactiveな会議であったと思う.私の発表は,バンケットが終わった翌日の最終日の早朝だったので,時間的には良 くなかったのだが,それでも気持ちよく話をすることができた.デンマークの物価はとても高く,今まで訪問した国の中でも最も高いという印象を受けた.理由 の一つは,25%の税金によるものだが,その分,老後の保障はされているため,デンマーク人の自国に対する満足度はとても高いらしい.21日にイギリスに 着くと,飲み物一つをとってもデンマークより1/3程度は安い印象を受けた.イギリスでは,2003年に1年間いたポーツマスに1 週間滞在し,小山君や水野君たちと行おうとしている共同研究について議論した.ポーツマスも7年前と比べるとかなり変わったという 印象を受ける.町にもいろいろとアジア系の店も増えていて,日本人にとって住みやすい環境になっている感じがする.ただし,天気が良くないというのは相変 わらずで,滞在期間のほとんどは雨が降って寒いくらいだった.
 研究の方は,7月に投稿したAntonioとのGalileon cosmologyに関する共著論文が,Physical Review Lettersに掲載決定となった.その拡張としてやっていた論文もポーツマス滞在中に終えて, ArXivに投稿した.現在は,Antonioと
コペンハーゲンの会議で会ったSavvas Nesserisともに,Galileon cosmologyの観測的な制限に関する研究を進めている.それ以外にもいくつか研究していることがあり,一つずつ地道に行っていこうと思う.9月は, 第二週からタイにAntonioとともに行き,その後,京都のJGRG会議に参加する.9月の終わりの韓国での会議にも呼ばれてい るので,授業はないにせよ忙しくなりそうである.また,David Polarskiの学生であったRadouane Gannoujiというポスドクが日本学術振興会のポスドクに採用されたため,彼のためのビザ取得の手伝いなども今週中には行う必要がある.


[2010 年 6月19日 (土)]


 5月の半ばに韓国に呼ばれて,AntonioとともにPohangとSeoulに2つの会議のために 行ってきた.着いた日の朝の9時半頃に研究所に行くと,10時から話をしてくれと急に言われる.セミナーでは,Uros Seljack, Nemanja Kaloper, Leonardo Denatore, Yong-seog Songなどのいろいろな人から質問を受け,その日の午後もずっと議論をしていて,夜になると喉が痛み出してきた.翌日に起きると体調が非常に悪く,結局 ほぼ一日中ホテルのベットに横たわっていた.Antonioにも迷惑をかけたが,Seoulに移動する日にはかなり復活してきて, なんとかそこでのトークも無事に終えることができた.Seoulでの会議は,数年前にできたIEUという新しい研究所で開かれ,IPMUの村山さん,京 大の佐々木さん,名大の松原さん,UPennのMark Trodden, CornellのHenry Tyeなどとお会いし,一緒に食事をした.韓国のIEUの所長は,ノーベル賞受賞者のGeorge Smootであり,韓国も宇宙論の研究に大きな力を注いでいるという印象を受けた.
 この1ヶ月は,一般化されたBrans-Dicke理論と,スカラー場の非線形項があるときの密度揺らぎの進化の話
Antonio たちとともに仕上げた.後者の研究はIPMUの向山さんも入っており,我々の導いた結果を全てcheckしていただいたので非常に 助かった.Antonioとは引き続き,いくつかの研究を継続して行っており,休む暇もあまりないと言うのが実情である.彼は,mathematicaや mapleを使った複雑な数値計算を非常に効率的に行うことができ,毎日のようになんらかの結果
について議論している.また,Amendolaと執筆したdark energyの本が6月10日にようやく出版になり,こちらに実物の本が送られてきた.昨年はこれに多くの時間を取られたが,実際に本が出来上が ると,それまでの試行錯誤の過程を思い出し,なかなか感慨深いものがある.
 6月28日から5日間,京都でYKIS2010と いう国際会議があり,そこで一日目に話をする.また,8月にはデンマークでの国際会議に呼ばれたので,そこに1週間
滞在し,そこからイギリスに移動し,ポーツマスに1週間滞在する予定である.9月にも,JGRG会議と,韓国の大田で開か れる会議に呼ばれているので,出張が多くなりそうである.ただし,8,9月は授業とはほとんど重ならないので,その意味では都合がよいと思う.


[2010 年 5月1日 (土)]


 1ヶ月前に新学期が始まり,David PolarskiとReza Tavakolが4月の第1週に理科大にやってきて,なかなか慌ただしかった.しばらく授業をしていなかったので,体が慣れていないためか,喉の痛みなど があってあまり体調がよくない.また, アイスランドで起こった火山の噴火でDavidの家族が予定通りにフランスに帰れず,Rezaの奥さんも日本に来るのが遅れて,客員宿舎の再予約なども あってなかなか事が落ち着かなかった.もっとも,最近はヨーロッパの火山灰の問題も解決され,Rezaは来週にイギリスに戻ることになりそうである. Davidの方は,予定通りあと1ヶ月は日本にいるために,なんとか共同研究を行って行きたいものでる.ただし,Antonio De Feliceと仕上げている仕事がいくつかあり,現在はそちらの方にもっぱら集中している.Davidと以前から行っている研究も,彼が日本に滞在してい る間に完成させようと話している. また,知り合いのDavid Kaiserからメールが来て,Higgs inflationについて一緒にやらないかと誘われており,時間があれば手を動かしたいと思ってはいるものの,他の研究のためにそれに関しては現在ほと んど進んでいない.
 4月の半ばに,以前,
Sabino Mataresseから依頼されたdark energyのレビューを仕上げて,astro-phに投稿した.これで少 しは落ち着いたと思っていたのだが,中国の雑誌の出版社からメールが来て,dark energyの別のレビューを,Physical Review Dのformatで25ページ以内で書くように依頼された.断ってもよかったのだが,Antonio De FeliceとDavid Polarskiにも頼んで彼らに著者に入ってもらうことにした.こうすればまた違った観点のレビューが書けるだろう.
  そういえば,先週の金曜日に,東大宇宙線研の ジョイントセミナーに呼ばれて,柏キャンパスに行き,IPMUの新しい建物も 見てきた.IPMUの向山さんとやっている仕事もあるので,これについての今後の方針などを議論してきた.また,5月13日から20日までの1週間,韓国 における2つの会議(APCTPIEU workshop) に招待されたので,Antonioと一緒に参加してくる予定である.2つの会議のうちの前者は,Pohangで開かれる講義形式のもので,後者は Seoulで開かれる通常の国際会議形式のものである.韓国に行くのもあと10日と少しなので,そちらの準備も始めないといけない.ここ一ヶ月は,科研費 やポスドク関連などで事務に提出する書類が多く,いまだに書く必要のあるものが残っており,ゴールデンウィーク中にうまく時間を見つけて処理していく必要 がある.


[2010 年 3月13日 (土)]
 

 3月も半ばとなり,今日くらいからようやく暖かくなり始めてきた.2月は授業がなかったのだが,入試や卒論,修論発表,会議などいろいろと業務があり, かなり忙しかったことは確かである.2月の終わりが締め切りのf(R) 重力のレビュー論文もなんとか無事に書き上げた.最終的にいろいろと付け加えたので,結局130ページを超える長編になってしまったが,これを書 いていく過程の中でいくつかの研究テーマを見つけたので,その意味では充実していたと思う.引用する論文にも注意したつもりだったが,arXivに投稿し た後に20人ほどの人からresponseをもらった.とにかく2月の終わりまでは数ヶ月これに集中していて,研究自体ができていなかったので,最近は Antonioたちといくつかのプロジェクトを再開している.とはいうものの,Sabino Mataresseから頼まれたdark energyのレビューも4月15日までに書かねばならず,気がつけばあと1ヶ月である.週末の空いている時間などをうまく利用して,早く終わらせたいも のである.Amendolaとのdark energyの本の最終校正も,昨日,最終的にCambridge出版に送ったので,これについては一段落という感じである.最終的に,出版社のフォー マットで504ページとい うかなりの厚さになった.
 年度末なので,科研費などの報告書も書かないといけない.考えてみると,今年は科研費関連に3つ関わり,また日印共同事業の研究代表者とAntonio の特別研究員奨励費の報告もある.4月に入ると,David PolarskiとReza Tavakolが理科大に来て,授業も始まるため忙しくなりそうなので,それまでにいろいろな書類の処理をしておく必要がある.また,卒研の配属が先日決 まって,4月から8人の新しいメンバーが研究室に加わることになる.

[2010 年 1月25日 (月)]
 

 イギリスから久しぶりのホームページの更新である.先週の火曜から,ロンドンのQueen Mary大学にReza Tavakolたちとの共同研究で来ている.これは,東大の横山さんが研究代表者の日英 共同研究である.ちょうどテスト期間中で授業がないので,こちらに実質的に1週間滞在することができた.イギリスは気温は日本と同じくらいであるが,こち らに来てからほとんどまともに太陽を見ることがない.食事に関しては,
イギリスだと食べるものが限定されてしまい,外で買い物をし てゲストハウスで簡単なものを作って食べるという生活をしている.いずれにせよ,明後日には日本に向けてこちらを発つので,こちらの滞在もあとわずかであ る.
 12月の始め頃から,
f(R)重力のreviewにもう2ヶ月くらい取り組んでおり,ようやくある程度の形になってきた.ページ 数もLiving Review in Relativityのフォーマットで100ページを超えたが,まだもう1章加える必要がある. Antonioの方はまだこれに真剣に取り組んでおらず,今のところ9割は私が書いているが,今週の水曜から本腰を入れると言っているので期待したいもの である.これを終えたらいくつかの溜まっている研究に手をつけようと思っていたのだが,Sabino Mataresseからdark energyのレビューを40ページ程度で書くように依頼された.もっともこれは,7人ほどの研究者が分担で各人の研究内容に関するレビューをするもの で,前に書いたdark energyのレビュー論文などと比べると負担はずっと少ないと思う.Cambridge出版のdark energyの本に関しても,英語の文法などのcheckをしてくれるアメリカ人がいて,とりあえず校正の第一段階は終わったところである.また,第二段 階で本格的な校正が始まると思うので,そちらの方でも時間を取られるとは思うが,なんとか誤植を最小限に減らしたいものである.Amazon のホームページ見ると,2010年7月に出版される予定になっている.
 そういえば,12月の終わりに1週間ほどインドのデリーに,名古屋大の野尻さんと,IPMUの向山さんと行って きた.今年は学振の日印共同研究の研究代表者をしているため,インド人との共同研究の方でもいろいろと成果を挙げなければならないというプレシャーを感じ ている.
デリーでは,日印のワー クショップの開催とともに,Samiたちといくつかのプロジェクトに関する議論をしたので,時間を見つけて研究を行ってい きたい.前回のインドの訪問では,大気汚染のために,帰国後にのどをこわして風邪をひいてしまったことから,今回はインドにいる間は常にマスクをしてい た.そのためか,今回はのどの調子もおかしくならず,またお腹をやられることもなかった.過去の5回のインド訪問で何も起こらなかったのは初めてなので, ある意味拍子抜けをしたような感じである.毎回の食事もSamiが気を使ってくれていたので,彼らの親切さのおかげでもある.
 また,以前に応募していた学振の外国人招へい研究者で,David Polarskiが採用になったとの連絡をもらった.彼は4月1日から5月30日までの2ヶ月間,理科大に来ることになっており,そのうちの10日程度は 彼の家族も来るらしい.また,4月1日から3週間ほど,Reza Tavakolが日英共同研究で理科大に 滞在するので,4月は研究室が賑やかになりそうである.


[2009 年 11月26日 (木)]
 

 現在,大阪に向かう新幹線の中でこれを書いている.11月19日から24日まで台湾の新竹でのワークショップに Antonio De Feliceとともに参加し,昨日はAlexei Starobinskyのセミナーが理科大であり,明日の27日は近畿大でセミナーを行い,来週の月曜から立教大でのJGRG会議に参加する.そのためこ の2週間ほどはあまり落ち着いていない状態だが,12月はなんとか研究時間を確保したいものである.取り組まなければいけない研究は多くあり, 特に,f(R)重力のreviewの締め切りが12月なので本腰をいれないといけない.Antonioがこちらに来て約2ヶ月が経過したが,日々の議論す る中で新しくやりたい 研究が出てくる.やはりポスドク以上の人が1人でもいると楽しいものである.昨日も,Alexeiを含めて様々な議論をした.台湾では,Antonioと だけでなく,京大の田中さんや, 国立精華大のGengさんや 馬場さんといろいろ議論をして,充実した日々を過ごした.台湾は食の宝庫で,今回も
Geng さんたちにおいしいレストランにいろいろと連れていってもらい感謝している.
 そういえば,10月の半ばに引っ越しをし,そちらの方面でもいろいろとばたばたしていたのだが,気がつくと大学の授業の方も実質的にあと一ヶ 月程度で終わりである.一月は1週間しか授業がなく,それが終わると後期のテストと入試がある.後期のテスト期間中には英国を訪問する予定である.もう今 年もあと一ヶ月と思うといつもながらに一年が経つのが早いと感じる.自分の子供は一月生まれで,新年とともに2歳を迎えるのだが,去年と比べると大きく変 化しているので,子供にとっての一年と大人にとっての一年の違いを強く感じている.


[2009 年 10月9日 (金)]
 

 一ヶ月前に日記を書いたときはイギリスにいたのだが,その後9月20日に日本に戻り,それから数日後に韓国の会議に行き,日本に戻るとすぐに授業が始ま るという慌ただしい生活で,それ以外にも,CMBの
学 術創成研究の研究打ち合わせと領域 立ち上げシンポジウムが,それぞれ10月2日と7日にあった.学振外国人特別研究員のAntonio De Feliceが,9月29日に日本 人の奥さんとともに大学に到着し,一緒に食事を取った.学振の彼の研究費もまだ届いていないのだが,コンピュータなしには仕事がで きないので,もうコンピュータを買った方がよいとアドバイスしている.幸いにして,学生の藤原君と大橋さんがよく面倒を見てくれて いるのでとても助かっている.あと一週間もすれば彼も落ち着いてきて,共同研究を開始できるだろう.
 
9月には,馬場さんとGengさんとやっていた modified gravityでの熱力学の研究と,学生の大橋さんとやっていたassisted dark energyの研究を終え,少し落ち着いたと思っていたのだが,dark energyの本の最終締め切りが9月の終わりだったので,後半はそちらにほとんどの時間を取られていた.幸いにして無事に脱稿したのだが,何度読み返し ても小さな誤植が見つかりなかなか大変であった.400ページ近くの本の全体的な整合性を取るのは本当に大変で,例えば同じ記号が出てきていないかなどの checkも含めた細かな確認が必要である.物理の内容のミスがなければ問題はないとはいえ,誤植が多いとよくないので,校正の段階でもまた精読していき たいと思う.いつ出版されるかはまだ未定だが,2010年にはまず出ると思う.現在は,数ヶ月前からFederico PiazzaSavvas Nesserisと行っている, 大スケールでの修正重力理論模型に対する観測からの制限の研究を行っている.これは,dark energyを使わずに光度距離を超新星の観測と合わせることが可能な模型であり,個人的にはなかなか興味深いと感じている.それ 以外にも,AntonioとDavid Motaとやっている物質揺ら ぎの研究や,藤原君たちとやっているchameleon機構の研究にも取りかかっている.それ以外にも,9月にReza Tavakolとセットアップしたいくつかの研究や,CMBの学 術創成に関する研究にも徐々に手をつけていく必要がある.10月から12月は授業があるだけでなく,それ以外の様々な行事も目白押 しなので,なかなか大変であるがうまく時間を見つけていきたい.ちなみに,11月19日から24日まで台湾に,12月24日から31日までインドに,1月 19日から28日までイギリスに出張することになった.これらの出張期間は,すべて大学の授業と重ならないように組んである.

 
[2009 年 9月9日 (水)]

   現在,ロンドンのQueen Mary大学に学生の藤原君とともにいる.7日にこちらに着いて,昨日は暖かかったのだが今日はかなり温度が下がり,日本で言うと11月の始めくらいの気 候である.こういう気候だともう夏が完全に終わってしまったことを肌で感じ,少し切ない気分になる.Queen Mary大学に は,Reza Tavakol,Douglas Shawたちなどとの共同研究のために来ていて,時差ぼけと闘いつつもすでにいくつかの議論を始めている.それ以外にも,台湾の馬場さんとGengさんと のホライズンエントロピーの仕事も終えようとしている.また,dark energyの本の締め切りが9月の終わりに迫ってきて,イギリスにいる19日までにはほぼ完成させなければならない.日本には20日に戻るが,23日か ら27日まで韓国での会議に招待してい ただいたのでかなり慌ただしい.しかも28日には授業が実質的に始まり,29日はAntonio De Feliceがポスドクとして理科大に来るので,家探しなどの手伝いもしなければいけない.10月には自分の家の引っ越しもある.また,10月7日に学 術創成研究の立ち上げ会議があり,23日にはKEKの会議に 招待していただたので,日本に戻ってしばらくのうちは慌ただしい日々が続きそうである.f(R)重力ののレ ビュー論文の締め切りは12月なのだが,まだ全く手をつけていないため,これについても早めにとりかかる必要がある.

[2009 年 8月1日 (土)]

   前期の授業が7月21日に終わり,7月22日から24日はMartin Bojowaldが,25日は馬場さんがvisitorとしていらっしゃった.その後,すぐに28日から30日まで,群馬の草津で開かれた天文天体物理若手夏の学校に 参加してきた.夏の学校では,dark energyの講演を最終日に1時間行ったのだが,終わった後もいろいろと質問をしてくださる方々がいて,内容に興味をもってくれたようで安心した.自分 の学生の大橋さんと藤原君の発表もあり,外での初めての発表で緊張したようだが,無事にこなしてくれた.夏の学校から戻った現在は大学で試験を行ってお り,8月4日と5日に試験監督がある.来週の土,日はオープンキャンパスがあり,高校生を相手に宇宙論のお話をする予定で,その後は9月の半ばまで夏休み である.なぜか去年より夏休みが短くなった印象があるが,その期間中に研究活動を充実させたいものである.本の執筆で研究が1ヶ月くらい前までは滞ってい た分,現在は多くのプロジェクトを抱えている.現在,David Polarskiたちと行っている研究がまずは終わりそうだが,彼らはバカンス中なのでほとんど音沙汰がない.Martinと議論したループ量子重力での 密度揺らぎの話,馬場さんと議論したエントロピー関連の話についても,近いうちに手をつけないといけない.また,f(R)重力のの レ ビュー論文(Living Reviews in Relativity誌)の執筆を, 編集者のClifford Willから依頼されたため,これについても取り組む必要がある.Antonio De Feliceとやっていた論文は7月に終えてPRDに投稿したのだが,約3週間で掲載決 定となり,これは一段落である.
 そういえば最近,KEKの小玉さんから連絡をいただき,以前に出していた科研費(学術創成研究)が採択になった.これは研究分担者ととして関わってお り,こちらの方でもいろいろと仕事をする必要がある.総代表者は,同じくKEKの羽澄さん(夏の学校でお会いした)で,実験と関係する5年計画の大きなプ ロジェクトである.これ以外にも,今年は,京大の佐々木さんの
科研費(基盤研究)の連携研究者,日印共同研究の研究代表者,日英共 同研究の研究分担者として関わっている.また,日本物理学会誌の新著紹介小委員会の委員も,11月から2年間依頼された.うまく時間をやりくりして研究に 取り組んでいかなければならない.

[2009 年 6月27日 (土)]

 
ほぼ3ヶ月以上もホームページの更新をしていなかったのは,純粋にdark energyの本を書くことに忙しかったためである.ようやく最近になって無事に完成に近づいた.Luca Amendolaと何回もやりとりをしてよう やく今のバーションが仕上がり,実際にこれを最終バージョンとして出版社に送ることも可能である.しかし,先週IPMUで行われた国際会議でLucaと話を して,知り合いや学生に読んでもらうためにも,あと3ヶ月はのばした方がいいのではないかという話になった.このfeedbackの期間があるというのは 非常に重要で,誤植や分かりにくいところなどを細かく直すこともできる.この辺の事情を編集者に言ったところ,9月30日
まで最終的な締め切りをのばしてもらった.考えてみれば,この5ヶ月間は本の執筆にほぼ毎日追われていたが,今後の3ヶ月はそのような状況ではないので, 再度読み直してゆっくりと細かな修正を入れていこうと思う.
 4月の始めから
3週間ほどDavid Polarskiが理科大に滞在し,また,6月4日から13日までMarina Cortezが,6月19日から数日間M. SamiとSanjayJhinganが
理科大を訪問したので,visitorの多い数ヶ月であった.本の執筆の傍ら,いくつかのプロジェクトをセットアップしたので,今後は研究の方に手をつけ ていきたい.そういえば,7月の終わりには天文天体物理若手夏の学校の講 師に,9月の終わりには韓国での会議に,11月には台湾での会議に招待していただいたので,9月のイギリスへの2週間の研究打ち合わせも含めて今後はかな り出張が多くなる.それに加えて,日印共同研究の研究打ち合わせでインドにも行かないといけない.考えてみると,今年の1月から現在まで,本の執筆のため ほとんど
出張をしていなかったので,7月から久しぶりの出張となる.先週のIPMUでの会議は,家から通っていたため出張という感 じではなかった.この会議では,自分の発表と座長の仕事以外にも,いろいろな方々と お話ができ,有意義な1週間であった.


[2009 年 4月1日 (水)]

 
立教大での物理学会も終わり,新年度がやってきた.今日,David Polarskiが日本に到着する予定で,理科大に3週間滞在する予定である.4月の授業が始まるのは10日からであるが,始まると急に忙しくなるために 授業の準備も進めておかなければならない.今年の前期は大学院の宇宙物理学特論も担当するので,通常よりも一コマ多くその分の負担もある.気がつくと,も う2ヶ月以上も授業をしていないので,最初の1週間はきつく感じることだろう.もちろん,Davidの世話もあるので忙しく
なりそうだが,共同研究を開始したいと思っている.特にこの2ヶ月間は本の執筆のために研究がほとんどできなかったので,今は研究をしたい気持ちになって いる. 本の方は,自分が担当している第1章から第7章までは終わり,Lucaに送ってある.締め切りを5月の末まで伸ばしてもらったので,若干の余裕が できたが,Lucaが書いた章を自分が細かくcheckするという作業もあるので,まだまだこれに時間が取られそうである.なかなか完全な本を書くのは難 しく,読み直すたびに誤植や修正したい箇所が見つかる.これは本当に地道に直していくしか方法はない.現在,Lucaの分も含めて
300 ページに達しており,完成版はそれよりは50ページは増える気がする.
 Antonio De Feliceとの論文の referee reportが最近になってようやく来て,少しの修正で Physics Letters Bに掲載決定になった.彼とやっている別の仕事もあり,それ以外にもイタリアでの集中講義を5月の末までにレビュー論文にまとめるなどの作業もある.やる べきことを頭の中で整理していかないと混乱しそうなので,5月の末までなんとか時間をうまく使ってやっていきたい.

[2009 年 3月8日 (日)]

 
この1, 2ヶ月は,Dark energyの本を書くことに集中していて,ようやく少しずつ形になってきた.あと数日ほどで,自分が担当している最初の7章の第1版ができあがりそうで ある.すでに自分が書いている部分はトータルで170ページを越えていて,Lucaが書いたものを合わせると250ページに達した.ただ,この2週間ほど
Lucaから返事が来ないので,3月の終わりまでに彼の章までcheckして,脱稿するのは難しくなってきた.しかもイタリア人は4月の2週くらいはイー スターホリデーで休みを普通とるので,Lucaからそれでまた音沙汰がなくなると思うと気が重い.4月の1日から21日までの3週間,David Polarskiが理科大に来るので,忙しくなる.しかも今年は大学院の授業も前期にあり,週5コマなので4月以降はあまり本を書くことに時間が取れなく なる.とにかく,今月の末までにある程度のめどをつけないといけない.
 研究の方は,やりたいことは沢山あるのだが,本書きのために1ヶ月間完全にストップしてしまっている.共同研究者にもこの点では迷惑をかけてしまってい るが,本書きが一段落すれば,気持ち的にも時間的にも研究をする意欲が湧いてくるだろう.自分はPadmanabhanのように,一日のうち3時間を本書 きに当てて,それ以外の時間は研究に当てるなどという器用なことはできない.一日3時間程度だと本の執筆がほとんど進まず,途切れ途切れになってしまう. Paddyは
一日3時間程度でも
5ページは進むようなことを言っていたので,仕事が際だって早いのだろう.
 そういえば,日印の共同事業に採用され,また東大の横山さんからも日英共同事業の方にも採用されたとの連絡をいただいた.そのため,今年はまたインドと 英国に
行くことになると思う.そろそろ今年の夏の予定なども考える必要が出てきた.7月の終わりに開催される若手の夏の学校に招待されたので,M1の学生たちと 草津まで行く予定である.本来,同じ頃にタイにも行く予定だったのだが,これは日程をずらす必要が出てきた.去年のようにあまり頻繁にヨーロッパに行くと 疲労がたまるので,無理のない予定にしたい.
 大学の方では,この1ヶ月は授業がなかったが,その代わりに入試業務,卒研発表,会議などがあり,予想していたよりも忙しい日々を送っていた.本書きで 無理をしたためか,先週は体調を少し崩してしまい,やはり無理は禁物である.研究室の中も,4年生の学生の協力により,この
1ヶ月 で劇的にリフォームされ,だいぶ研究室らしくなってきた.

[2009 年 1月16日 (金)]

 
遅ればせながら,明けましておめでとうございます.

 イ ンドから日本へは,12月31日に無事に戻ってきたが,日本に戻る飛行機の中でデリーの大気汚染の影響からか喉が痛くなり,2週間ほど風邪を引いてしまっ た.やはりインドから無傷で帰るのは自分にとって非常に難しい.成田空港に着いて空を見て空気を吸ったとき,何か別の世界に戻ってきたような錯覚を覚え た.あのインドの大気汚染を肌で感じると,地球の環境に与える影響を真剣に考えてしまう.NASAの衛星写真を 見ると,デリーからカルカッタにかけて帯のように粉塵による大気汚染が広がっている.中国にもこの汚染は海岸沿いを中心に存在しており,この汚染による環 境への被害は大きいだろう.インドでは,交通ルールもないようなもので,車線の区別も無視してクラクションを鳴らしながら,自分が先に進もうとするドライ バーが多数である.しかも,道路の脇の土のところまで車が走り,砂埃と排気ガスを出しながら空気の汚れには目もくれていない様子である.この交通の混乱を 整理し,交通ルールを守って運転するだけでも大気汚染の問題はある程度は改善されると思う.聞くところによ ると,デリーでは,毎年約1万人が大気汚染による呼吸疾患で亡くなっているそうで,インド政府としてもこの問題に目をつぶらず,真 剣に改善策を検討してもらいたい.
 日本に戻ってきてから,基本的にDark Energyの本の執筆に追われており,
それ以外にも,玉置君 とReza Tavakolとここ2ヶ月くらいの間に行ってきた仕事を,完成させようとしている.後者の方はあと1週間程度で終わる予定だが,本の方はなかなか時間が かかる.2月の終わりにまでには,最初のバージョンを完成させて,3月は細部に修正を加えていく予定である.ちょうど今週に後期の授業が終わったため, 2,3月はその意味で時間が取れることは確かだが,後期試験,大学入試,卒研などもあるため,余裕があるわけでもない.いくつかの研究も,この2ヶ月はほ とんど進めることができないだろうが,それは仕方がない.そういえば,アインシュタ イン方程式に関する数理科学の執筆もあったのだが,それはインド滞在 中に終わらせて編集部に送ったので,あとは校正だけである.
 そういえば,前に応募していた学術振興会の外 国人特別研究員で,Antonio De Feliceが採用になったという連絡をもらった.
Antonioはちょうど,12月24日に日本人の奥さんと理科大に来 ていて,そのときにもその話をした.もちろん,他のよりよい職があればそちらを選ぶことになると思うが,理科大に来てくれると非常にうれしい.もし本当に 来るとすると,今年の9月からということになる.


[2008 年 12月30日 (火)]


 
現在インドのデリーのJamia Millia Islamia大学にいる.25日からこちらに名古屋大の野尻さんと滞在していて,今日の晩にデリー を発ち,日本に戻る予定である.こちらでは,Jamia Millia Islamia大学近くのホテルに滞在している.前回のデリーの訪問では,魚を食べてお腹を壊してしまい,数日寝込むという状況に陥った.そのため,今回 は食べるものに気を遣い,生野菜や果物は口にせず,歯を磨くのもミネラル水を使うという徹底的な対策をした.そのためか,今回はお腹の調子が崩れることは なく,無事に 日 本に帰れそうである.ただ,デリーの大気汚染はひどく,中国の北京を明らかに上回っている.一日外出すると,鼻の中が真っ黒になっている.そのせいかのど の調子が良くなく,今回は呼吸の方で苦しめられた.インドに滞在して全くの無傷で帰るのは難しいということだろう.日曜日には,デリーから
200 km離れたアグラという町にあるター ジマハールまで観光に出かけてきた.この壮大さには目を見張るものがあり,どちらから見ても対称なその構造には非常に驚いた.
 今回の訪問は,日印の学振の共同事業で来ていて,そのため,M. Sami, S. Jhinganたちと今後の研究計画についての打ち合わせを行った.
12月27日には,野尻さん,Azam, 私,A. Senの4人が,Samiの司会のもとでプレゼンを行い,活発な議論を行った.いくつかの今後のプロジェクトを具体的に考えたの で,徐々に手をつけていきたい.Samiとは宇宙論の本を執筆しているのだが,お互いにいろいろなことで忙しいため,最近はあまり進展していない.これに ついても今後,ある程度計画的にやっていこうという話をした.
 12月は,6日から14日もイタリアにmodified gravityの集中講義のため出張をしていた.これは,アルプス地方のTonaleと いうスキーリゾートで行われたもので,毎日講義があるためその準備 をしていて,結局一回もスキーはしなかった.まずはオーストリアのインスブルックに着き, その後は電車で
アルプスを越えて Trentoに着き,そこからさらに1時間半かけてTonareに着くというスケジュールだったのだが,すべてうまく事が運んだ. 自分の講義以外にも,David LangloisやLicia Verdeたちの講義も聞くことができ,Nelson NunezやMiguel Quartinたちとの議論もでき,有意義であった.ホテルでのイタリア料理やコーヒーもおいしく,配慮の行き届いたWinter Schoolであった.
 それにしても,10月の後半から12月にかけて,フランス,台湾,イタリア,インドと4カ国を訪問して,疲れがたまっているのは事実である.日本に戻る のは大晦日で今年ももう終わりである.とりあえず6ヶ月くらいは国外への出張を控えて,研究の方に落ち着いて取り組みたいと思っている.大学の授業も1月 の1週間で後期は終わりなので,時間ができてくるだろう.
 


[2008 年 11月26日 (水)]

 昨日の夜に台湾の出張から日本に戻った.11月20日から25日までという短い滞在であったのだが,なかなか充実した日々を過ごせた.台湾に行くのは実 は初めてで,どのような国であるのかも興味があった.新竹にある国立清華大学に現在ポスドク研究員として滞在している馬場さんと,教授のC.Q. Gengさんの親切な計らいで,台北空港から国立清華大学までタクシーを呼んでくださっていた.そのため,本来は1時間以上かかるところが40分くらいで 大学のゲストハウスまで到着した.
  ゲストハウスはとてもきれいでかつ広々としており,掃除もホテ ルのように毎日やってくれる.朝もゲストハウスで朝食が取れて,中国の北京と異なり生野菜などもたくさんあって驚いた.21日の朝に馬場さんとGengさ んにお会いし,物理の議論をする.その日の午後に,天文学専攻の人々を中心とした私のセミナーがあり,スタッフの方がセミナーの前に大学内のカフェテリア まで,昼食をとるために連れていってくれた.いろいろ賑やかに話をし,1時半からセミナーを行った.これは観測的な側面からのdark energyの話であり,学生も含めてかなりの方々がセミナーに来てくださり,しかも多くの質問をしていただいて感謝している.その日の夜はGengさん が,彼の家族と学生,馬場さんたちといっしょに焼肉屋に連れていってくださった.食べ放題の店で,台湾式の焼肉をいろいろと食べて楽しい夜を過ごした.
  そ の翌日の土曜日は,馬場さんと荒木さんというポスドク研究員とともに台北まで観光に出かけた.驚くことに多くの場所に日本語の表記があり,レストランでも 日本人と分かると日本語を話してくるので,料理を注文するのに困ることはない.台湾タワーと台湾博物館の2つに,地下鉄を乗り継ぎながら行ってきた.この 地下鉄も近代的で,駅や街中を歩いていると,日本にいるのではないかと錯覚するときが何回もあった.台湾の人は親日的で,日本人と分かると親切にしてくれ る.この日の夜は,小龍包などの台湾料理を食べて,そのおいしさに舌鼓を打った.帰りは日本から車両を輸入したという台湾新幹線に乗り,30分くらいで台 北から新竹駅 まで到着してした.
 翌日の日曜日は,研究室に行って自分の研究と馬場さんとの議論を行う.その日の夜は,Gengさんが,彼の娘さんも一緒に大学の近 くの台湾料理の店に連れて行ってくれ,そこでも非常においしい料理をいただいた.月曜日の午前中は,清華大学で上級研究員をされている古内さんやその他の 方々にお会いし,コーヒーを飲みながらいろいろな話をした.午後は素粒子グループで私のセミナーがあり,素粒子論が専攻の方々の前で宇宙論のセミナーをす るのはうまくいかないのではないかと最初は思っていたのだが,セミナーを始めると皆さんがいろいろな質問をしてくださり,自分としてもやりがいがあった. 結局90分近くも話をしていたことになるが,セミナー後も私の部屋までわざわざ数人の方が質問にきてくださり,とても感謝している.
 台湾では,素粒子論に 比べてなぜか宇宙論のスタッフがほとんどいない状況なのだが,宇宙論に興味を持っている人々も増えてきているのでこの状況は数年したら変わるだろうと言っ ている方が多かった.Gengさんも宇宙論に興味を持っていて,馬場さんも含めていろいろな議論を行ったので,これを機に共同研究を開始しようと思う.そ の翌日の火曜日には日本に向けて台湾を後にするという短期スケジュールだったので,次回はもっと長期的に来たらどうかとGengさんにも言われた.ぜひそ うしたいものである.今回これほど快適な台湾の滞在となったのも,Gengさん,馬場さんを始めとする様々な方々のご親切によるものであり,非常に感謝し ている.
 気がつくと,来週の土曜日にはイタリアのアルプス地方にmodified gravityの5日間の講義をするために向かうことになっている.落ち着く暇もあまりないが,時間をうまく使って研究をしていきたいと思う.


[2008年 11月7日 (金)]


 フランスへの出張から先週の日曜日に戻ったのだが,現地での滞在が3日間とあまりに短かったため,フランスにいる間も日本に 戻ってきてか らも時間 の感覚が完全におかしくなっていた.今回はパリに着くのが予定よりも2時間遅れて,さらに空港からGare de Lyon駅までのバスも渋滞で1時間以上かかり,予約していたTGVに乗り遅れた.そのため約50ユーロを支払い1時間後のTGVに乗った.モンペリエの ホテ ルに着いたときは夜の12時を回っており,日本時間でいうと朝の7時なので丸一日かかって日本の自宅からモンペリエに到着したことになる.
 翌日はワークショップの一 日目で, David Polarskiから午前の部の座長をやるように頼まれたので,時差ぼけと闘いつつもなんとか4人の話を聞いていた.最初はAlexei Starobinskyでf(R)重力によるインフレーションと暗黒エネルギーの話である.コーヒータイムではAlexeiと熱心に議論をしたため,午前 の後半の座長の仕事を忘れかけそうになったが,Davidに言われて無事に午前のセッションを終えた.バリオン振動の動径方向の情報やガンマ線バーストか らの暗黒エネルギーの性質に対する制限など,興味深い話が聞けて面白かった.昼には,今までに論文を書きながら一度も会ったことがなかった Salvatore Capozzielloやこれもまた初対面のDavid Mota, Pier-Stefano Corasanitiその他多くの人々と食事をとる.午後になると,日本が夜になっていくためか急速に眠くなってきて,講演者の話を集中して聞くのが難し くなってしまった.その日の夜は,2年前にも行ったレストランでバンケットが開かれた.なかなかおしゃれなレストランでおいしいフランス料理が食べれて良 かった.
 次の日の午後には自分の発表があり,予定通り40分で終わり,5人程度の人から質問を受けたので反応は悪くはなかったと思う.自分の発表の後はテン ションが上がったためか眠くならず,かなり元気になった.その日の夜はDavid, Eric Aubourg, Leandros Perivolaropoulos, Salvatore Capozzielloらとビールを飲みにパブに行き,その後レストランに行った.時差ぼけのためか,ビールを一杯飲んだだけで既に酔ってしまった.レス トランでいろいろな話で盛り上がりホテルに着いたのが12時を回っていた.
 翌日は朝の9時半にホテルを出て,10時13分発のTGVに乗った.偶然にも, Alexei Starobinskyと彼の妻も全く同じ車両に乗っていた.Alexeiは12月から3月まで東大に来るそうなので,また近いうちに会える機会があるだ ろう.パリには2時くらいに着き,空港行きのバスを待っていたのだが,40分くらい待ってもバスが来ない.交通渋滞に巻き込まれて,いつバスが到着するか 分からないと言うので,バス停で待っていた日本人の方々と話をして,電車で空港まで行くことを決意する.時間に余裕があったはずが,このアクシデントのた め余裕がなくなり,空港に着いたときは搭乗まで1時間半もなくなってかなり焦った.今回は行きも帰りもなぜかトラブルに見舞われたが,いい勉強になったと 思う.やはり3日の現地滞在というのは非常にきついということもわかったが,この時期の出張は授業があるために仕方がない.
 日 本に戻ってきてから,授業,就職幹事の仕事その他でかなり忙しく,本の執筆も滞り始めたので時間を見つけないといけない.Lucaからもようやく昨日メー ルがきて本を書く時間ができてきたとのことである.Antonio De Feliceと仕上げていた論 文もようやく終わり,雑誌に投稿した.その後も同時に走らせている仕事がいくつかあるため,それらも少しずつ手をつけていかないといけない.気が つくと,来週は東大Resceuでの国際会議,再来週は台湾への出張 (この期間は文化祭のため授業はなし),1ヶ月後にはイタリアでの1週間の集中講義があるため,その準備もしないといけない.さしあたり,来週の Resceu会議は発表はなく人の話を聞くために参加するが,その週の日曜日に大学で業務があるため,台湾に行くまでほとんど休みがないことに気がつい た.Resceu会議に参加するのは15時くらいまでで,16時には大学に戻って普通に授業をする予定である.やはり秋はいつも忙しくなるようである.


[2008年 10月18日 (土)]


 この一ヶ月は後期が始まりいろいろと忙しかった.後期から就職幹事をやることになり,初めての仕事なのでまだ慣れていない. また,卒研生 11人の研究テーマも決まり,ある程度内容が分散し,8つ程度の異なる研究になったので良かったと思っている.
 最近は,Dark energyの本の執筆に追われていてあまり研究をする時間がない.Dark energyはかなり特定のテーマに絞られているため執筆しやすいだろうと思っていたが,観測と理論の両方で読者にとって分かりやすくかつ有益なものを書 くには相当の努力を要する.前にDark energyのレビュー論文を書いたとき以上に,いろいろな論文や本も平行して読んでいるので時間がかかる.また,計算も当然すべて確認しながらやってお り,良い図を作るために数値計算もしている.最初の6章くらいは自分が書き,残りの3,4章はLuca Amendolaが書くことになっているのだが,まだLucaは全く手をつけていないようで最近音沙汰がない.とりあえず,自分が書いた部分は50ページ に達している.一応,来年の2月一杯くらいまでを目安にしてくれと編集者に言われているため,かなり本腰を入れないとまずいと少し焦り始めている.毎日, 3ページずつ書けば一ヶ月で90ページになる訳だが,そのように規則的に進まないのは研究と同様で,時間をかけて内容をしっかりと考える時間も必要とな る.おまけに後期は授業やゼミ以外にも出張が多いので,うまく時間を見つけて今年中には自分の担当部分についてはある程度のめどをつけたい.あとは, Lucaがちゃんとやってくれるかどうかにもかかっている.イタリア人は12月のクリスマスシーズンに入ると仕事をしなくなることを知っているので, ちょっと気になっている.
 このような状況の中でも,ようやくAntonio De Feliceとやっていた仕事の一つめが数日以内に終わりそうである.5月くらいからかなり時間をかけてやっていたが,その分いろいろなことが明らかに なったので良かったと思っている.玉置君との論文もPRD にもう少しで出版される.David LangloisとEugeny Babichevとやろうとしているいくつかの仕事も推し進めていかなければならない.その他の共同研究もあるのだが,現在の状況ではそれに割く時間があ まりない.本の執筆といくつかの研究を同時並行してやるのが理想だが,器用でないのでそれもなかなか難しい.1年くらいすれば学生とともに研究ができるよ うになるだろう.数理科学からEinstein方程式についての執筆依頼も来たが,これは5ページ程度なので大変ではない.フランスのモンペリエで開かれ るワークショッ プも 来週に迫っている.来週の水曜に日本を発ち,木曜と金曜のワークショップに参加し,土曜にパリを出て日曜日に日本に着くという強行スケジュールであ る.この時期は授業があるため1週間以上の出張は厳しい.モンペリエでDavid Polarskiとその他多くの知り合いと会うことが出来るのが楽しみである.


[2008年 9月19日 (金)]


  今週の15日にフランスから日本に戻ってきた.8月21日から9月14日まで25日間,ヨーロッパにいたことになるが,毎週のようにいろい ろな大学や研究所に移動していたのであっという間に25日間が過ぎ去ってしまった.メインの訪問地は,David Polarskiがいる南フランスのモンペリエ大学であり,それ以外にもパリのAPC研究所とIAP研究所,ロンドンのQueen Mary大学,ベルギーのルーバン大学を訪問した.
 モンペリエ大学はパリから800km離れているが,TGVで行くと3時間半程度で着く.モンペリエは, パリやロンドンと異なり地中海性気候で太陽の光がまばゆい.基本的に湿度が低いので,温度が30度近くになってもクーラーなしでやっていけた.David とは,modified gravityでの密度揺らぎのgrowth factorのことなどについていろいろと1週間議論し,夜には3回ほどフランス料理のレストランに連れていってもらった.前に同じレストランに来たこと があるが,その時に日本の硬貨をおみやげに渡したことをウェイトレスの人が覚えていてくれていた.ここで食べる料理,特に魚料理はとてもおいしい. Davidは完全な夜型で午後の3時以降に大学に現れるので,昼食を食べにいくときは誰かを探さないといけない.ドイツ人のCarsten Jedamzikやその他のスタッフの人が親切にしてくれて,Carsteinたちと物理の議論や世間話をしながら昼食を食べていた.Davidが研究室 に現れると,にわかに活気づき,物理の議論をしながらいろいろな冗談を言いあっていた.それにしてもDavidは陽気な人柄である.もしかしたら,来年に 1ヶ月ほど理科大に来るかもしれない.今年の10月にモンペリエでワークショップがあるので,そこでまた会うことができるが.
   パリでは,市の南東部に位置するPlace d'Italie駅の近くに宿泊していた.これは,APCのDavid Langloisが予約しておいてくれたホテルであるが,なかなか良かった.ホテルの隣には日本食のレストランがあり,最初の日に早速入ってみた.日本語 を話しても通じないのでどうやら中国人が経営しているようだ.こういう外国にある日本食レストランはたいてい味が良くないので期待していなかったのだが, そこで食べた寿司料理は2000円程度で驚くほどおいしかった.それ以外にもこの辺りにはたくさんアジア系のレストランを見かけたので,お互いに競合して いるのかもしれない.APCでは,最初の
3日間はDavidがケンブリッジに行っており会えなかったのだが,2日目に自分が行ったセミナーで,Nathalie Deruelleやその他の人からたくさんの鋭い質問を受けた.特に,Nathalieとはセミナー後も黒板の前で白熱した議論を展開し,セミナーが始 まった2時から5時くらいまでいろいろと話ができて楽しかった.やはり,自分のセミナーに興味をもってくれ るのはうれしいものだ.しかもNathalieは明日から出張で忙しいはずだったのに.
 APCでのセミナーの翌日(9月10日)は,IAPのJerome Martinを訪ねに行く.Jeromeとは,2年前の北京での会議で会った以来の再開である.IAPはPlace d'Italie駅から地下鉄で10分ほどの近距離にある.昼頃に到着したので,Jeromeと同僚のMartion Lemoineとともに学食に食べに行く.彼らは,日仏の共同研究事業に属しているため,今年の5月に東京を訪れており,そのときの話などでいろいろと盛 り上がった.Jeromeは論文を仕上げていて忙しそうだったが,インフレーションや暗黒エネルギーの素粒子模型の話についていろいろと参考になる話をし てくれた.また,Patrick Peterにも会い,コーヒーを飲みながらbouncing cosmologyの議論などをする.JeromeやPatrickとの議論を発展させて何か仕事がしたいものだ.
 9月11日は,APCでDavid Langloisと会い,他のAPCのメンバーも含めて昼食を食べに行く.ここには学生用の食堂しかないようで,外のフランス料理の店に行った.午後から は,DavidとポスドクのEugeny BabichevとともにDavidの部屋でf(R)重力についての議論を行う.ここでも2時くらいからはじめて3時間くらいは議論していたと思う.何が 問題点で何を明らかにすればよいかが明確となったので,充実した議論だったと思う.いろいろと他にもやることが多いが,少しずつ研究を進めていきたい.
 9月12日は,ベルギーのルーバン大学にいるAntonio De Feliceに誘われて,パリからルー バンに行ってきた.パリ北駅からブリュッセル駅までは1時間20分ほどで着いてしまう.しかも国境を越えるのにパスポートのcheckもなく驚い た.ブリュッセル駅からさらに1時間ほど電車に乗り,ルーバン駅に12時頃に到着した.Antonioが駅で待っていてくれて一緒に昼食をとる.ローバン は,大学都市だけあってさすがに落ち着いた雰囲気が漂っている.しかも緑が多く気持ちがよい.午後からは,現在Antonioと終えようとしている仕事と 今後の課題などについて集中的に議論を行う.今までメールだけでやってきたのだが,やはり直接議論をするとお互いがよく理解しあえてとてもよい.
 その日の夜は,Antonioが彼の家に招いてくれて, Antonioの日本人の奥さんと娘のAnnaちゃんに会った.ちょうどAnntonioの両親も来ていて,イタリア料理を作ってくれた.このパスタと肉 料理がなんともおいしい.やはり,外国料理の中で一番好きなのはイタリアンだなと妙に納得してしまう.Annaちゃんはまだ6ヶ月で,自分の子供と2ヶ月 しか違わないので,非常な親近感を感じた.その翌日は,Antonioと共にブリュッセルに行き,観光とAntonioがお勧めのチョコレート店に行って おみやげを買う.ベルギーはワッフルで有名で,町のあちこちに大きなワッフルが売られていた.この翌日に日本に帰るために一泊しかベルギーに滞在できず残 念だったが,Antonioといろいろな議論と楽しい話をしたので,充実した滞在となった.
 また上記の滞在に加えて,8月の終わりに,Reza Tavakolに誘われてロンドンのQueen Mary大学にも短期的に滞在した.ここのゲストハウスはとても素晴らしい設備でおまけに眺めも良い.Rezaはいつも通り非常に紳士的で,いろいろと気 を遣ってくれた.ここでもかなり綿密な議論をRezaやKotub Uddin, Jim Lidseyなどと行い,いくつかのプロジェクトを開始することになった.またちょうどポルトガル人のvisitorのFllipe Menaとも議論をし,Rezaたちと一緒にタイレストランに行って楽しんだ.Rezaは土曜日に彼の家に招待をしてくれ,彼の妻のEmmaとも約1年ぶ りに会った.タイ人のBurin Gumjudpaiとその妻がケンブリッジにいて,こちらに来ないかと誘うとロンドンまで来てくれ,彼らとも交えてRezaの家で食事をし,また ロンドンの東部を散策した.Rezaは日本料理が好きで,この日も味噌汁や豆腐料理を作ってくれてとても感謝している.彼の家の近くには日本料理の take awayの店があり,味噌汁の作り方などもそこで教えてもらったそうだ.Rezaは間違いなく,私より日本料理をおいしく作ることができて引け目を感じて しまった.Burinは1年間と長期的にケンブリッジに来ていて,Hawkingなどと話すことも多いようだ.今となっては2003年にBurinと Hawkingと私の3人でケンブリッジで写真を撮ったときが懐かし い.
 上記のように,いろいろな人と出会い,親切にしてくれた皆に感謝している.彼らとの議論を糧にして,今後のさらなる研究につなげていきたい.


[2008 年 8月18日 (月)]

  あと3日後にフランスに行くために,少し慌ただしくなってきた.玉置君とやっていた,chameleon gravityの論文も昨日完成すること ができて,PRDとgr-qcに投稿した.今までの仕事だと,星の内部でのスカラー場の質量を考慮せずにやっていたのだが,その辺をきちんとやると解析解 が出てきた.予想通り,重力実験の制限を満たすようなときは,場の質量は大きく,星の原点付近での境界条件は
有効ポテンシャルの極値の位置に非常に近くなっている.これを強い重力に拡張するとどうなるかも考えていきたいと思っている.8月21日から9月15日の ヨーロッパでの滞在では,P. BraxやD. Shawなどのchameleon機構の専門家にも会う予定なので,いろいろと議論していきたい.また,Antonio Defeliceと行っている modified gravityの仕事ももう少しという感じで,あとは局所重力の制限について考える必要がある.
 8月の頭には,Antonioの学振のポスドクの応募書類と,日印共同事業の応募書類の2つを理科大の事務に提出した.2つとも締め切りは9月なのであ るが,8月10日から20日まで大学が休みでしかも21日から9月の半ばまでフランスに行くため,書類を8月8日までに提出する必要があり,7月末からな んとか書類をがんばって完成させた.大学は10日か ら20日までたしかに閉まってはいるのだが,守衛に電話をすれば建物の中に入ることができ,数日間は大学にも行った.自分の部屋がある1号館の8階にはこ の期間でも大学院生がかなりいたので,このあたりはやはり日本らしいと思う.ヨーロッパでこの状況だと誰もいないだろう.前期の期末試験の成績の締め切り が8月29日までなので,これも渡仏する前にやらないといけず,なんとか採点を完了した.高専と違い中間試験がないので,採点も手間取らないと思っていた のだが,実際には一クラス平均で100枚以上の答案があり,一クラス40人の高専と比べ2倍以上の量である.そのため,1科目を採点するのにもかなりの時 間がかかった.出来も芳しくなかったため,試験の点数の調整も必要である.
 それにしても,8月の半ばまでは本当に暑かったが,昨日から急に涼しくなった.フランスは25度もないようなので,自分にとっては今年の日本の夏もあと 数日で終わりである.ちょっと寂しいような複雑な気分である.

[2008年 8月1日 (金)]


  気がつくともう8月に入ってしまい,今日は大学院入試の日であった.ここ10日ほどは授業がなく,基本的に前期末試験の監督以外の業務はほ とんどなかったので,研究にかなり没頭していた.早稲田のときの同級生の玉置君とchameleon gravityについての研究を進めている.気がつくとあと3週間でフランス行きなので,夏休みを利用して研究を行っていきたい.理科大は8月10日から 約10日間休みなので,その期間は冷房のある研究室で快適に過ごせないかもしれない.ヨーロッパの人たちは10日どころか数週間もどこかにバカンスに出か けるのが普通だが,自分の場合,そのような長期のバカンスを過ごし何もしないと逆に調子が狂ってしまう.お盆の時期は,数日はどこかに出かける予定だが, それ以外は家で仕事をしているだろう.もちろん,子供の面倒をみないといけないわけですが.
 9月15日に日本に戻り,1週間ほどして授業がはじまり.それから1ヶ月くらいして10月の終わりのフランスでのワークショップに再び1週間ほど出かけ る予定である.これは,David Polarskiが主催しているもので,昨年は自分も organisorの1人でありながら,子供が生まれるという状況のため参加できなかった.今年はその意味でも参加する予定である.後期は出張が多く, 11月には東大RESCEUでの国際会議と,台湾への1 週間ほどの出張がある.しかも最近,David Motaという人からメールが来て,12月にイタリアのアルプス地方で開かれるWinter schoolの講師として招待された.Modified gravityの話を5回に分けてするように依頼された.Davidとはまだ会ったことがないが,私の研究に興味を持ってくれたようだ.Winter schoolの期間中は午後2時間くらい毎日スキーができるようであるが,講師として毎日話をする以上,スキーをする余裕はあまりないだろう.12月の終 わりには,Samiが開く予定のデリーでのワークショップにも参加する.こんなに予定が入って授業に影響はないかと思うかもしれないが,台湾とインドへの 出張期間は,文化祭や冬休みで授業がなく,東大での会議も昼なので夜の授業をすることができる.後期は体調を崩さないように注意しないといけない.


[2008年 7月12日 (土)]


  7月8日(火)から11日(金)まで,名古屋大で宇宙論的密度揺らぎについての集中講義を行ってきた.8日は理科大での夕方の授業を終えて から名古屋に向かい,名大に着いたときは夜の9時半頃になってしまったが,野尻さんが研究室にいらっしゃったので無事に宿舎の鍵をいただくことができた. 講義は翌日の朝の10時半から始まり,午前と午後にぞれぞれ2時間の講義が組まれている.密度揺らぎの集中講義をするのは初めてなので,その前の週から一 生懸命に準備をしていた.ちょうど,現在Samiと宇宙論の本を書いていることもあり,このような集中講義は実は本の執筆を進める上でも役にたつ.
 野尻 さんは素粒子宇宙研(Q研)に属しているため,聴衆は 主に素粒子研(E研)の大学院生やス タッフであった.講義中にも多くの質問をしてくださり,やっている方としても非常に楽しかった.大学院生以上の熱心な方々に相手に講義をすると,これほど 雰囲気が違うのかと新鮮な驚きだった.講義はほぼ予定通りに進み,一日目に揺らぎの基本的な式の導出やゲージ不変性,2日目は流体の場合の物質揺らぎの進 化と談話会,3日目にインフレーション中に生成される揺らぎとインフレーション模型への制限の話を行った.野尻さんはもちろんのこと,素粒子研のスタッフ の戸部さんや前川さんには非常にお世話になり,熱心に講義を聴いてくださっただけでなく,夜には名古屋名物のひつまぶし(うなぎを用いた料理)や手羽先の 店に連日連れていってくださった.名大の素粒子研はとても自由な雰囲気で,素粒子論だけでも5人のスタッフに恵まれており,非常にうらやましい.最終日で 講義が終わった後に,東大の学部のときの知り合いで現在,名大の助教の浜中君に 久しぶりに会って話ができた.また,観測的宇宙論が専門の杉山さんにも お会いしお話をした.名大はCOEの拠点に最近採用されたとのことで,杉山さんはそのリーダーである.杉山さんはそのため非常にお忙しそうであったが,今 後の名大の物理学科の発展に大きな寄与をもたらすと思う.
 自 分の最近の研究の方は,立川君と のskewnessの仕事を1週間ほったらかしにしていたのであと少しで仕上げたい.立川君もこの1週間はフランスに行っており,13日に帰国するとのこ とである.そういえば,理科大の授業の方も来週の15日で終わりになり,それ以後は時間ができてくるので本の執筆の方も進めていきたい.これは自分の学生 の教育のためにもとても重要なことである.もちろん,
夏には今までに同時並行して行ってきているいくつかの研究についても進展をさせていく予定である.


[2008年 6月19日 (木)]


  6月の9日と11日に,森川さんに 呼ばれてお茶大に暗黒エネルギーに関する集中講義を行ってきた.1日目の方は暗黒エネルギーの基礎的な話をして2日目の方で研究に関する話をするように依 頼されていたため,1日目は宇宙論の本当に基礎的なところからスタートした.お茶大の宇宙と素粒子の大学院生,東大のRESCEUの大学院生,自分の学生 4人程度に参加していただいた.1日目は,膨張宇宙,超新星の観測の話と宇宙項問題の話で終わったが,これはほぼ予定どうりである.2日目は,一転して暗 黒エネルギーの模型の話,暗黒エネルギーのdynamical analysis, スケーリング解,重力理論の変更に
よる模型の話などひと通りの話をしたため,自分の学生(4年生)にとってはほとんど理解不能だったようである.一般相対論をきちんと勉強した後にまた取り 組めば理解できるようになると思うので,しばらくしたらまた挑戦してもらいたい.1日目の話は彼らにとってそれなりに理解可能であったようなので,まずは その部分を理解するように努めればよいと思う.2日目の夜には森川さん,立川君,その他の参加者8人でお茶大の近くのお好み焼き屋に食べに行った.みなさ ん,2日間私の話につきあってもらいありがとうございました.
 このように,先週は理科大の授業も含めて20時間は教壇に立っていたので,かなりの疲労がたまっていたが,今週には風邪もほぼ完治し元気になってきた. 言い忘れていたが,太田さんと馬場さんとの磁場の研究は先月の末に終わり,astro-phに投稿した.現在は,立川君とmodified gravityでのsecond-order perturbationsとskewnessの研究を行っており,この研究もかなり佳境に入ってきた.ただ,今週の土曜には大学院の教員の懇親会と演習 の授業,日曜日には宮崎への日帰りの出張(理科大の保護者会に参加する)があり,予定がかなりつまっている.来週以降も月末になってきたので,会議が入っ てくる.気がつくとあと1ヶ月ほどで前期の授業も終わりなので,時の経過が早いなと感じている.前期の力学,相対論の授業もなんとか予定のところまで終わ りそうなので,そういう意味では順調かもしれない.8月21日から9月15日まで,日本学術振興会の特定国派遣研究 者でフランスに行くので,航空券やTGVの券の手配などの準備も進めている.


[2008 年 5月24日 (土)]

 先週の日曜日と月曜日に,日印の国際交流事業で,M. Sami, Sanjay Jhingan, 名古屋の野尻さん,東工大の白水さん,藤井さん,東大の水野君と私が理科大に集まった.卒研生にも声をかけたら,英語にも関わらず,菅原さん,藤原君,山 下君が来てくれた.ひとりひとりが自分の最近の研究内容の紹介をし,それを元に今後のプロジェクトについて議論し ていくというやり方で あったのだが,最終的にこれからやるべきことがかなり見つかったので,会合は充実していたと思う.神楽坂には,いくつかのインド料理レストランがあり,そ のうちのMumbaiというところに皆で日曜 日に行った. ここはなかなか雰囲気のよいところで,インド人二人も気に入ってくれたようである.ただ私はインドで過去にひどくお腹を壊しており,そのトラウマがあるた めか,どうもあまりインド料 理は好きになれない.まあ,さしあたり日本でインド料理を食べる分には大丈夫なのであるが.
 この会合の後,火曜日に疲れがたまったためか体調を崩してしまった.考えてみると週末も休みなく大学に出てセミナー部屋の準備その他で追われていたた め,自然と疲労がたまったのだろう.日を追うごとにのどが痛くなり,現在では声がいつもと変わってしまっている.昨日の相対論の授業と今日の電磁気演習の 授業では声を出すのが本当につらく,学生にも迷惑をかけているので,早く治していきたい.明日一日ゆっくりすれば回復してくるだろう.ただ,子供に風邪を 移さないようにもしないといけないので注意が必要である.
 太田さんと馬場さんと行っている磁場の研究はかなり佳境に入ってきていて,今日の夕方に二人に原稿を送ったばかりである.馬場さんは台湾にポスドクで在 籍しているが,時差がほとんどないたため彼が日本にいるような感覚で共同研究ができる.しばらくこれに時間をかけていたので,最近ほったらかしにしてい た,Gauss-Bonnet dark energy有効性の話,modified gravityによる非ガウス性に対する影響などの研究,そしてdark energyの本の執筆も再開していきたい.


[2008年 5月1日 (木)]


 理科大に来て1ヶ月がたち,ようやく研究室に棚,机やコンピュータなどがそろってきた.授業もそれなりに軌道に乗ってきたが,土曜にも演習で大学に行く ため,週末にゆっくりと家にいることができないのが少しつらい.4年生のゼミは,金曜日に毎回2人ずつ行っている.コンピュータのインストールなども,お 茶大の立川君の助けもあり無事に終了した.それにしても,インテル搭載のMacマシーンでfortranを走らせるととても早い.立川君と1ヶ月ほど, modified gravityの重力レンズへの効果についての仕事を行っていたのだが,かなり入り組んだプログラムにもかかわらず,数値計算を効率的に終わらせることが できた.その甲斐あって,今週の初めに論文をastro- phに投稿した.将来的に,詳細な重力レンズの観測により,なんらかのmodified gravityの効果が拾えるととても面白いと思っている.この仕事が終わった現在は,太田さんと馬場さんとDirac-Born-Infeldモデルの 原始磁場の生成の話や,Gauss-Bonnet項がある場合の暗黒エネルギー模型の妥当性の研究をAntonio De-felice, Reza Tavako, Kotub Uddinなどと行おうとしている.暗黒エネルギーの本も書き始めないといけないのだが,もう少し時間に余裕が出てきてからにしようと思う.
 ところで,VPNというソフトを使うと,外部から大学に接続することができて,大学に来るメールやPhysical Review Dなどの雑誌を家でも読めるようになった.ホームページのアップロードもできるようになって,現在も家からファイルをアップしようとしている.このシステ ムはとても便利である.


[2008年 4月10日 (木)]


 1週間ほど埼玉の家から電車で大学に通い,少しずつ電車通勤にも慣れてきた.自宅の最寄り駅から飯田橋まで40分かかるが,直通で行けるのでその点では 便利である.授業が夜にあるので,どうしても大学に行くのが高専にいたときよりも遅くなる.ただ,午前中は基本的に業務がないので,慣れればもう少し研究 をすることができるだろう.昼食はこの3日ほど,同じ第二部物理学科の長嶋先生と和達先生と一緒に食べていて,いろいろと穴場の店を教えていただいた.ま だ,研究室には本棚が届いていないため,本を段ボールから出すことができない状態が続いている.だた,インターネットやホームページの開設はできたので, あと1週間もすれば徐々に落ち着いていくだろう.去年,理科大に来られた和達先生からもあまり焦らずやればいいと言われていて,少しずつ新しい環境に慣れ ていこうと思う.今週の月曜と火曜に力学の授業があり,300人くらいは入るような大教室で授業をして,昔,予備校で教えていた頃を思い出してしまった. 金曜の最後の時間に入門相対論,土曜に電磁気演習がある.今週が終わればとりあえずはある程度のペースがつかめてくるだろう.今日の午後は,4年生に集 まってもらい,卒業研究の予定の打ち合わせをした.相対論の本を毎週金曜日の午後の1時半から4時まで読むということにした.それ以外にも,各学生の卒業 研究でやることがある程度決まったら,数人のグループに分けてサブゼミをしようと考えている.
 今日,高専の事務の方から,科研費の若手Bに採用されたとの連絡をいただいた.この1カ月ほどは研究からやや遠のいているので,徐々にいろいろな研究を やっていこうと思う.現在はお茶大の立川君と,modified gravityの重力レンズに対する効果についての研究を行っていて,これも近いうちに結果が出てくることを期待したい.


[2008年 4月1日 (火)]: 東京理科大学への異動

 
   報告が遅れましたが,4月1日付けで神楽坂の東京理科大学理学部第二部物理学科に移ることになりました.4年間在籍した群馬高専では,一般教 科自然を始 めとする多くの方々にお世話になり感謝しています.この4年間では,教育に関する様々な経験を踏むだけでなく,充実した研究成果を上げることができまし た.東京理科大学においても,今まで以上に研究と教育に真剣に取り組んでいくつもりですので,よろしくお願いいたします.