A guide for University Physics

流体力学基礎

大学1年で扱う、流体力学のさわりの部分を紹介します。

流体とは

中学校の理科で物質の三態について学ばれたと思います。おおまかには、流体とはこの三態のうちの液体と気体を合わせた物体の総称だと言うことができます。流体は剛体(固体)とは異なり、力が加わると変形してしまいます。

ベルヌーイの定理

さて、先ほど流体は力が加わると変形してしまうと書きました。この特徴のため流体の運動は今まで用いてきた質点用の式で記述できず、流体のための特別な式を用いる必要があります。そのための式が、ベルヌーイの定理です。ベルヌーイの定理は、次式で表されます。

式:ベルヌーイの定理

ここで、vは流速[m/s]、pは圧力[N/m2]、gは重力加速度[m/s2]、zは高さ[m]、ρが密度[kg/m3]です。各項の単位は[m]になっています。高さzは、どこを基準としても構いません。

この定理は、非圧縮性の粘性のない流体(完全流体)の同一流線上で成り立ちます。

完全流体
完全流体とは、粘性(ねばりけ)のない流体のことを指します。 現実の流体には少なからず粘性がありますが、粘性を考慮しないでもほぼ同じ結果が得られる場合も多くあるため、 計算の簡略化のために粘性なしとして計算することもあります。

例題

水を溜めた充分に大きな水槽があります。水面から深さd[m]下に穴をあけたときに穴から吹き出す水の速さv[m/s]を、ベルヌーイの定理を用いて求めましょう。

まずはベルヌーイの定理を適用するための流線を決定します。計算を簡単にする為に、流速と水圧が分かっている水面と、水が吹き出す穴を結んだ流線を用いましょう。今回は通過点が同じであれば経路は特に関係ありません。

そしてベルヌーイの定理を適用します。高さの基準を水面、水の密度をρ[kg/m3]、大気圧をp0[kg/m2]とすれば、水面と穴でのそれぞれの数値は次の表のようになります。穴における圧力が大気圧に等しくなることに注意してください。

種類[単位]水面
速さ[m/s]0v
圧力[kg/m2]p0p0
高さ[m]0-d
密度[kg/m3]ρρ

これをベルヌーイの定理に適用すれば

例題途中式:p_0/(rho・g) = ( v^2 )/( 2g ) - d + ( p_0 )/(rho・g)

この式を整理すれば、穴から吹き出す水の速さvは

例題回答:v=√(2dg)

と求まります。

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