ニュートン力学を学ぶ際、その例題としてケプラーの法則がよく取り上げられているようです。ここでは この法則の導出方法について、数式と図を交えて説明します。
第1法則は惑星が太陽を焦点とした楕円軌道上を運動するというものです。質量Mの恒星の周囲を質量mの惑星が運動するとして、この軌道を実際に計算することでこの法則を導いてみましょう。ここでrベクトルを恒星から見た惑星の位置ベクトル、θを恒星を原点とした極座標系における惑星の角度とします。
恒星を原点とした極座標系での惑星の運動を考えたとき、惑星にはr方向の力のみが働いていることに注目します。
θ方向に働く力が0なので、運動方程式よりθ方向の加速度は0となります。よって
となり、r2dθ/dtが時間tにかかわらず一定となることが分かります。これをcとしましょう。
惑星の運動方程式をX方向とY方向に分けて記述すると、以下のようになります。
それではX方向のみに着目して、式を変形させていきましょう。
まずは左辺の時間微分を取り除きたいのですが、時間によって変化する変数(r,θ)が2つもあるので、両辺を時間で積分するのは少々難しそうです。rまたはθによる積分に置き換える方法を考えると、先ほど(5)式で求めた定数cが利用できることが分かります。(6)式の両辺にdt/dθをかけると、次のように変形できます。
この(8)式の両辺をθで積分するのは、先ほどの(6)式の両辺をθで積分するよりも簡単です。この積分によって、次式が得られます。ここで、Aは積分定数です。
以上と同様の計算をY方向についても行うと、次式を得ることができます。ここで、Bは積分定数です。
ところで位置(x,y)とその速度を極座標に書き換えると、一般に次式で表されます。
この(11)式と(9)式および(12)式と(10)式はそれぞれ等価なので、次式が成り立ちます。
ここでdr/dtを消去するために、(13)式に-sinθを、(14)式にcosθをかけて足し合わせると、次式が得られます。
さらにこれをr-1について整理すると、次式を得ることができます。今後の式展開を分かりやすくするために、これをfと定義します。
ここで角度θが0のときにrが最小となると仮定すると、これは角度θが0のときにfが最大となることを意味しているので、df/dθは角度0において0となるはずです。よって(16)式より
同様に、d2f/dθ2は角度0において負となるはずですから、(16)式より次式が得られます。
以上(17)式および(18)式を(16)式と組み合わせることで、rとθの関係を式であらわすことができます。
この式は離心率Bc/GM、半直弦h2/GMの楕円の式と等価です。よって惑星の軌道が楕円を描くことが証明されました。