物体の重心とPappus-Guldinusの定理



物理学に於ける「重心」の厳密な定義は、「質点系を構成する質点の位置の、一様な重力場中で各質点に働く重力で加重した加重平均」である。つまり、n個の質点からなる質点系の重心をRsとすると、

  

ここに、Mは全質量、gは重力加速度、riは各質点の位置である。(1)より、

  

となるので、重心は質量中心に一致する。

ここで、曲線状の物体の重心を考える。連続的物体は、無限個の質点からなる質点系と見なせるので、曲線状の物体の重心をRcとすると、

  

ここに、ρ(s)は曲線状の物体の線密度、a,bはそれぞれ線積分の始点、終点である。ここで、ρ(s)=Const.とすると、

  

ここに、Sは曲線状の物体の全長である。(4)は数学に於ける曲線の重心に一致する。

Pappus-Guldinusの定理によると、回転面(ある固定された軸のまわりに、ある平面上の曲線を回転させた時に得られる面)の面積は、曲線の長さと曲線の重心を回転させた時にできる円周の長さの積に等しい。この定理は、工学分野で物体の重心を求めるのに利用されている。



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