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どんな研究を行うのか


@エネルギー可変ポジトロニウムビームの生成
 実用的なエネルギー可変ポジトロニウムビームを生成します。ポジトロニウム負イオンから電子を剥ぎ取る際には、レーザー光に高強度パルスレーザーを使います。このようなパルスレーザー光と同期して実験を行うためには、利用する陽電子ビームもパルス状である必要があります。そこで、この条件を満たす陽電子ビームとして、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の線形加速器を利用した陽電子ビームと、溜め込み陽電子を利用したパルス状陽電子ビームを用います。前者では加速器の特性を反映してパルス状のビームが得られます。後者では、放射性同位元素22Naからβ+崩壊で得られる陽電子を一旦、磁場と電場で溜め込んで、そこからパルス状の低速陽電子ビームを引き出します。大型の施設を必要とせず、大学の研究室レベルでの研究の展開が可能です。

Aエネルギー可変ポジトロニウムビームを利用した固体表面の研究
 @で得られるポジトロニウムビームを利用して、固体表面の研究を展開します。たとえば、固体表面にすれすれの角度でポジトロニウムビームを入射し、表面で跳ね返ってくるポジトロニウムを位置敏感検出器で画像にすれば、最表面原子で回折されたポジトロニウムの干渉による像が得られるはずです。ポジトロニウムの干渉実験はこれまでに行われていません。この現象は量子力学の基礎として重要であるとともに、固体表面の解析に利用できると考えられます。ポジトロニウムは電気的に中性でしかも質量が小さいですから、絶縁体や磁性体表面を非破壊で調べる上で最も理想的なプローブ(探針)であるといえます。

Bポジトロニウム負イオンと光子の相互作用の研究

ポジトロニウム負イオンと光の相互作用について調べます。ポジトロニウム負イオンに光を入射すると、光子のエネルギーが0.33eV以上なら電子が剥ぎ取られます。その様子を詳細に調べます。ある特定のエネルギーではその反応が急激に起こりやすくなる共鳴と呼ばれる状態ができることが、理論的に予測されています。これを実験で明らかにします。

Cアルカリ金属蒸着表面からのポジトロニウム・ポジトロニウム負イオン放出の研究

アルカリ金属を蒸着した金属表面からのポジトロニウムやポジトロニウム負イオンの放出現象について詳しく調べます。






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