東京理科大学 infoserv[更新日]2000.10.23


問16  プログラム設計に関する次の記述を読んで,設問 1 〜 3 に答えよ。

A 社では,月次の支払処理前に,支払先ごとに集計した支払予定の金額を印字し, 目視で検査を行ってきた。 この業務をコンピュータシステムで行うことになり,サーバ側での条件による 支払データの抽出と,クライアント端末側での承認入力を行うプログラムを作成することになった。

〔支払検査・承認システムの説明〕

(1)

システムを起動すると,アカウント名とパスワードの入力画面がクライアント端末に 表示される。 アカウント名とパスワードが登録されている承認権限をもつ管理者だけが,このシステムを 利用できる。 また,この画面で,支払対象年月を入力する。

(2)

サーバプログラムは,支払先ごとに 1 レコードにまとめた支払集計ファイルを読み, 指定された支払対象年月のレコードの中で,次の検査条件に一つでも当てはまるものがあれば, そのレコードを承認処理の対象とする。 対象となるレコードは毎月 20 件程度である。 それぞれの検査条件で参照される値は,検査条件テーブルとしてプログラムに与えられる。

検査条件 1 :当月の支払金額が, 支払先ごとにあらかじめ設定されている上限金額を超える。

検査条件 2 :当月の支払金額の算入によって, 当年度支払累計 (当年度のその支払先への支払金額の累計)が,2,000 万円を超える,又は既に超えている。

検査条件 3 :当月の支払金額が, 当月支払総額(当月支払対象のすべての支払金額の 合計)の 3 %を超える。

検査条件 4 :当月の支払金額が, 当月支払対象のすべての支払集計レコードの中で, 金額の降順に並べたときの上位 5 %に入る。

(3)

サーバプログラムは,承認処理の対象となった支払集計レコードと検査条件テーブル, 及び各ファイルから得られる内容を基に,送信データを編集し,クライアントプログラムに 送信する。 このとき,承認項目 1 〜 4 については,次の編集を行う。

なお,承認項目 1 〜 4 は,同じ番号の検査条件に対応している。

(2)の各検査条件に当てはまる場合, 支払集計レコードの承認項目の値(初期値は空白)を,送信データの対応する承認項目に転記する。

(2)の各検査条件に当てはまらない場合, “非該当”の文字列を送信データの対応する承認項目に転記する。

(4)

クライアントプログラムは,受け取った送信データから支払承認画面を作成して 表示する(図 1)。 このとき,承認入力に関する表示は,承認項目 1 〜 4 のそれぞれの値に応じて, 次のように作成する。

承認項目の値が空白の場合は, 対応する説明文と,承認入力のための“承認”ボタンを表示する。

承認項目の値が空白でない場合は, 対応する説明文の後に,その内容を編集して表示する。

(5)

支払承認画面の“承認”ボタンが押されると,サーバプログラムは, 支払集計レコードの対応する承認項目に,承認日時と承認者名を書き込む。

(6)

支払承認画面の“次のレコード”ボタンが押されると,サーバプログラムは, (2) 以降の処理を繰り返す。 “終了”ボタンが押されると,処理を終了する。

(7)

支払承認画面の例を図 1 に,システムの構成を図 2 に,プログラムの構造を 図 3 に示す。

(8)

各ファイルの様式及び検査条件テーブルの内容を次に示す。

利用者ファイルの様式
アカウント名 パスワード 氏名

検査条件テーブル

検査条件番号

検査の
境界値

表示用説明文(固定部分)

1

―――

支払額が,この支払先に対する上限額を超えています。

2

20,000,000

当年度支払累計が,2,000 万円を超えるか,既に超えています。

3

3

当月支払総額に対し,3 %を超えています。

4

5

当月のすべての支払の中で,上位 5 %に入っています。


        図1 クライアント端末の表示画面の例

 


図2 システムの構成


図3 サーバプログラムの構造

設問1   次に示すクライアント端末へ送る送信データの様式の中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。

送信データの様式

解答群

ア 検査条件番号    イ 検査の境界値    ウ 支払先コード

エ 支払対象年月    オ 承認者氏名     カ 当月支払総額

設問2   支払承認要求処理では,1 度だけ値を設定すればよい項目は,基本処理で設定し, 支払先ごとに値の異なる項目は,初期処理で設定する。 このとき,表 1 の中の に入れる正しい答えを, 解答群の中から選べ。

 検査 1 〜 4 は,同じ番号の検査条件に対応している。 また,検査 1 〜 4 では,ファイルの読込みは行わない。

表1 検査処理で使用する項目と項目を設定するモジュール

項目を設定するモジュール名

基本処理

初期処理

検査 2 で使用する項目

解答群

ア アカウント名    イ 検査の境界値      ウ 当月支払順位パーセント

エ 当月支払総額    オ 当年度支払累計     カ パスワード

設問3   図 3 中の初期処理で行う処理のうち,表 2 に示す P1 〜 P4 の 処理順序として適切な答えを,解答群の中から選べ。
表2 初期処理で行う処理の内容

処理名

処理内容

P1支払集計ファイルのレコードを読む。
P2支払先ファイルのレコードを読む。
P3送信データの各項目に,対応する値を転記する。
P4送信データのすべての項目に,空白を転記する。

解答群

ア P1 → P2 → P4 → P3    イ P1 → P3 → P4 → P2 

ウ P2 → P1 → P4 → P3    エ P4 → P3 → P1 → P2

オ P4 → P3 → P2 → P1


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