平成6年度 秋期 第二種 午後 問3〜問6 [更新日]1994.11.11 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ 次の問3から問6までの4問については、この中から2問を選択し、答案用紙の選┃ ┃択欄の[選]を黒くマークして解答してください。 ┃ ┃ なお、3問以上選択した場合には、はじめの2問について採点します。 ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 問3 ファイルシステムに関する次の記述を読んで、設問に答えよ。 現在、ワークステーションやパソコン用のファイルシステムにおいては、図に示す ような階層化されたディレクトリ(登録簿)によりファイル管理が広く利用されてい る。 この種のファイルシステムは、フロッピーディスクや固定ディスク上のファイルに 適用され、ボリュームごとに一つずつあるルートディレクトリの下にサブディレクト リを階層化して作成することができる。ファイルやディレクトリの名前は、同一のディ レクトリの直下ではユニーク(一意)でなければならないが、ディレクトリが異なれ ば同じであってもよい。 ファイルの識別には次の三つの方法がある。 (1) ルートディレクトリから出発して、目的のファイルにいたるまでの途中すべての サブディレクトリ名を指定する、絶対パス記述による方法 (2) カレントディレクトリ(現在のディレクトリ)から出発して、目的のファイルに いたるまでの途中すべてのサブディレクトリ名を指定する、相対パス記述による 方法 (3) 相対パス記述の特別な場合として、カレントディレクトリの直下にあるファイル のファイル名だけを記述する方法 これらの記述では、例に示すようにディレクトリ名及びファイル名は "¥" で区 切る。 なお、任意のディレクトリをカレントディレクトリに指定することができる。 図 階層化されたディレクトリによるファイル管理の例 例1 図中の3のファイルの絶対パス記述 ¥ ARAI¥PRG1¥SUM ┬ ─┬── ─┬── ─┬─ │ │ │ └─→ ファイル名 │ └────┴──────→ ディレクトリ名 └-─────────────→ 先頭の¥はルートディレクトリからのパス 記述であることを表す 例2 図中の1がカレントディレクトリであるときの5のファイルの相対パス記述 TXT1¥PRG1¥KAZU ─┬── ─┬── ──┬─ │ │ └─→ ファイル名 └────┴───────→ ディレクトリ名 例3 図中の4がカレントディレクトリであるときの6のファイルのファイル名記述 DATA1 ─┬─── └────────────→ ファイル名 設問 [ ]に入れる正しい答えを、解答群の中から選べ。 (1)カレントディレクトリが図中の2であるとき、6のファイルを識別する記 述は[ a ]である。 答ア (2)カレントディレクトリが図中の2であるとき、ディレクトリを除き、 ファイル名だけで識別できるファイルの数は[ b ]である。 答ア (3)カレントディレクトリが記述[ c ]で識別されるとき、PRG1¥SUM と¥IMAI¥TXT1¥PRG1¥SUMは同じファイルである。 答エ a に関する解答群 ア BKUP¥DATA1 イ DATA1 ウ TXT1¥BKUP¥DATA エ ¥ARAI¥TXT1¥DATA1 オ ¥BKUP¥DATA1 b に関する解答群 ア 1 イ 2 ウ 3 エ 4 オ 6 c に関する解答群 ア ¥ARAI イ ¥ARAI¥TXT1¥BKUP ウ ¥IMAI エ ¥IMAI¥TXT1 オ ¥IMAI¥TXT1¥PRG1 問4 通信とデータ圧縮に関する次の記述中の[ ]に入れる正しい答えを、解答 群の中から選べ。 通信回線を経由してデータ転送を行う場合、データ列の冗長度に着目した符号化を 行うことによって転送データ量を減らし、通信効率の向上を図ることがある。その代 表例として、同じデータ値が連続する部分を2バイトの符号の並びに置き換えて圧縮 する方法がある。この符合は、図1に示すようにデータ列の長さを表すカウンタバイ トと、データ値を表すデータバイトによって構成される。これを連長圧縮法(ランレ ングス符号化)という。この符号化方式を用いて16進データ列を圧縮した場合の例 を図2に示す。 |←カウンタバイト→| |← データバイト→| ┏━━━━━━━━━┓ ┏━━━━━━━━━┓ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 連続バイト数 ┃ ┃ データ値 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┗━━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━━━━┛ 図1 連長圧縮法の符号 図2 16進データ列を圧縮した例 図2から明らかなように、すべてのデータが圧縮されるわけではない。元のデータ が連続していない部分では、逆に容量が増える。最悪の場合には、圧縮結果の容量は、 元のデータの[ a ]倍になる。 図3に示す32バイトの文字列を、表に示すような通信回線で送信した。圧縮をいっ さい施さずに送信した場合の転送時間は、およそ[ b ]ミリ秒である。 次に、このデータを連長圧縮法で圧縮すると、[ c ]バイトになるので、転 送時間はおよそ[ d ]ミリ秒になる。 なお、どちらの場合も、データは途切れなく連続して送信されるものとする。 a 答ア b 答ケ c 答ウ d 答キ 図3 送信データ(32のバイトの連続文字列で改行コードはない) 表 通信回線の伝送方式 ┌───────┬────────┐ │同期方式 │調歩同期通信方式│ ├───────┼────────┤ │通信速度 │1200bps │ ├───────┼────────┤ │スタートビット│1ビット │ ├───────┼────────┤ │データビット │8ビット │ ├───────┼────────┤ │パリティビット│なし │ ├───────┼────────┤ │ストップビット│1ビット │ └───────┴────────┘ 回答群 ア 2 イ 4 ウ 22 エ 27 オ 32 カ 146 キ 183 ク 213 ケ 267 コ 293 問5 販売日報作成の流れに関する次の説明を読んで、設問に答えよ。 一日分の販売データファイル(様式1)を、マスタファイル(M1, M2)と照合 し、マスタファイルから必要な項目を付加して、販売日報(様式2)を作成する処理 がある(処理の流れは図を参照)。 図 処理の流れ ┌─┬─┬─────┬─────┬─────┐ │販│得│データ1 │・・・・・│データn │ │売│意├─┬─┬─┼─────┼─┬─┬─┤ │年│先│商│販│販│ │商│販│販│ │月│コ│品│売│売│ │品│売│売│ │日│|│コ│数│金│・・・・・│コ│数│金│ │ │ド│|│量│額│ │|│量│額│ │ │ │ド│ │ │ │ド│ │ │ └─┴─┴─┴─┴─┴─────┴─┴─┴─┘ 様式1 販売データのレコード様式 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ 販売日報 ┃ ┃┌────┬───────┐ ┃ ┃│商品名称│NNNNNNN│(販売日99年99月99日) ┃ ┃└────┴───────┘ ┃ ┃┌──┬────────┬─────────────────┐┃ ┃│ │ │ 販売に関する情報 │┃ ┃│順位│ 得意先名称 ├─────┬─────┬─────┤┃ ┃│ │ │ 数量 │ 単価 │ 金額 │┃ ┃├──┼────────┼─────┼─────┼─────┤┃ ┃│ 1│NNNNNNNN│9,999│9,999│9,999│┃ ┃│ 2│ ・ │ ・ │ ・ │ ・ │┃ ┃│ ・│ ・ │ ・ │ ・ │ ・ │┃ ┃│ ・│ ・ │ ・ │ ・ │ ・ │┃ ┃└──┴────────┴─────┴─────┴─────┘┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 様式2 販売日報の形式 〔前提条件〕 (1) 各ファイルは順編成ファイルである。 (2) 販売データファイルは得意先コードをキーとして整列されており、1レコードに は商品販売に関する情報が n(n≧1)件記録されている。 (3) 販売日報は、商品別に販売金額の多い得意先順に表示する。販売金額が同じとき は得意先コード順で表示する。 (4) 一つの得意先に対しては、同一商品のデータは一つしかないものとする。 〔処理ステップの説明〕 (1) ステップ 1 では、販売データファイルを M1 ファイルと照合し、必要な項目を 付加するとともに、販売データファイルの 1 レコードを n レコードに分割した F1 ファイルを作成する。 (2) ステップ 2 では、F1 ファイルを整列し、F2 ファイルを作成する。 (3) ステップ 3 では、F2 ファイルを M2 ファイルと照合し、必要な項目を付加し、 F3 ファイルを作成する。 (4) ステップ 4 では、商品別に販売金額の多い得意先順に表示した販売日報を作成 する。販売日報の単価欄は "販売金額/販売数量" を表示する。 設問 次の説明文の[ ]に入れる正しい答を、解答群の中から選べ。 (1) M1 ファイルに最小限必要な項目は[ a ]、M2 ファイルに最小限必要な項 目は[ b ]である。 (2) ステップ 2 の整列キーは、[ c ]である。 (3) 一つの得意先に同一商品のデータが複数あることを前提としたときには、ステッ プ 1 の次に[ d ]を整列キーとした整列処理と、販売数量・販売金額を 合計する処理を追加する必要がある。 a 答エ b 答ウ c 答ウ d 答カ a、b に関する解答群 ア 商品コード、商品名称 イ 商品コード、商品名称、販売金額 ウ 商品コード、商品名称、販売単価 エ 得意先コード、得意先名称 オ 得意先コード、得意先名称、販売金額 c、d に関する解答群 ア 商品コード イ 商品コード、販売金額(降順) ウ 商品コード、販売金額(降順)、得意先コード エ 商品コード、販売金額(昇順) オ 得意先コード カ 得意先コード、商品コード 問6 経路に関する次の記述を読んで、設問1、2に答えよ。 都市a1,a2,…,a5 とその都市間の移動所要時間(以下、所要時間という) が図のように与えられている。ここで、矢印に添えた数値は所要時間を表し、 矢印の向きは移動できる方向を表す。 図 都市間経路図 表 都市間経路表 ┌─┬────────┬────────┬────┐ │K│START(K)│ STOP(K)│P(K)│ ├─┼────────┼────────┼────┤ │1│ a1 │ a2 │20分 │ ├─┼────────┼────────┼────┤ │2│ a1 │ a3 │50分 │ ├─┼────────┼────────┼────┤ │3│ a2 │ a3 │20分 │ ├─┼────────┼────────┼────┤ │4│ a2 │ a4 │70分 │ ├─┼────────┼────────┼────┤ │5│ a3 │ a4 │40分 │ ├─┼────────┼────────┼────┤ │6│ a3 │ a5 │30分 │ ├─┼────────┼────────┼────┤ │7│ a4 │ a5 │20分 │ └─┴────────┴────────┴────┘ 設問1 図のような各都市間の経路がある場合、都市a1から都市a5に行くときの最 短所要時間を、解答群の中から選べ。 答ウ 解答群 ア 50分 イ 60分 ウ 70分 エ 80分 オ 90分 カ 100分 キ 110分 ク 120分 設問2 都市a1からa2,a3,…,anそれぞれの都市に行くときの最短所要時間とそ の経路を求める計算手順を、次のように考えた。記述中の[ ]に入れ る正しい答えを、解答群の中から選べ。 都市の区別は、一連の番号として扱う。すなわち、図及び表中のa1,a2,… は、1,2,…として扱う。 PMIN(j):都市a1から都市ajにいたる最短所要時間が格納される。 MMIN(j):都市a1から都市ajにいたる最短所要時間の経路で都市ajの直前 に通過する都市番号が格納される。 (1) 経路の本数mと都市の個数nを読む。 (2) 経路の始点となる都市START(K)、終点となる都市STOP(K)、所要時間 P(K)をK=1,2,…,mについて読む(図及び表を参照)。 (3) 初期値として0→MMIN(1), 0→PMIN(1), 及び∞→PMIN(I) (I=2,3,…,n) とする。流れ図では、∞を99999とする。 (4) 最短所要時間計算での修正の有無のチェック用として0→CHGとする。 (5) 次の処理を経路K=1,2,…,mについて繰り返す。 (ア) 経路Kの始点を取り出す:START(K)→I (イ) 経路Kの終点を取り出す:STOP(K)→J (ウ) 出発都市a1から都市Jまでの所要時間PJを都市Iを経由して計算する: [ a ] (エ) いままで求めたPMIN(J)と(ウ)で求めたPJとを比較して、PJが小さけ れば、いままでの最短所要時間と入れ換える:PJ→PMIN(J) 次に、このときの始点Iを都市Jにいたる直前の経路として格納する: I→MMIN(J) 更に、最短所要時間に修正があったのでチェック用CHGを変更する: 1→CHG (6) 最短所要時間に修正があったかどうかを調べ、あれば[ b ]に戻る。 なければ最短所要時間が求まったので、最短所要時間とその経路を印刷して 終了する。 a 答イ b 答エ a に関する解答群 ア PMIN(I)+P(J)→PJ イ PMIN(I)+P(K)→PJ ウ PMIN(J)+P(I)→PJ エ PMIN(J)+P(K)→PJ オ PMIN(K)+P(I)→PJ カ PMIN(K)+P(J)→PJ b に関する解答群 ア (1) イ (2) ウ (3) エ (4) オ (5) カ (6) 〔流れ図〕 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