研究内容 本研究室では、いろいろな物質の低温・磁場中における電子物性を研究しています。 物質は低温(ここでいう低温は4.2K程度)に持っていくと、熱揺らぎの効果が無視できるようになり、電子と結晶格子の相互作用、電子と電子の相互作用、スピンの相互作用など、物質に本質的な相互作用が重要になり、その結果「超伝導」「磁性」などの特異な現象が出現します。 このなかでも我々が興味を持っているのは「超伝導」です。特に「高温超伝導」と呼ばれる現象は、従来の超伝導よりもはるかに高い転移点で超伝導を実現しています。(現在最高は160K付近です。)もっと高い温度で超伝導が実現できれば我々の生活に与えるインパクトは大きいものがあります。 また、この高温超伝導は超伝導の中でも特異な現象で、ただ単に転移点が高いということだけでなく、いろいろな物理現象の舞台となっています。たとえば超伝導を担う電子が2次元的に秩序を作ったりすることが知られています。 我々は、主に「走査トンネル顕微鏡(STM)」を用いた「走査トンネル分光法(STS)」という手法を用いて超伝導を研究しています。走査トンネル分光法とは、試料表面の原子構造を実空間でまさに「見る」ことができ、なおかつ試料表面の電子状態を原子分解能をもって知ることができるという、他に類を見ない測定方法です。 右の図のように先のとがった金属製の針を観察したい試料に近づけます。試料と針の間には電圧(バイアス電圧)を印加しておきます。針と試料の間の距離dが数cmあったら、当然電流は流れません。しかし、dが数オングストロームまで近づくと、両者が接触していなくても電流が流れるようになります。(量子力学の演習で計算しましたよね。)これをトンネル電流と言います。トンネル電流は、非常にdに敏感で、試料表面の原子の凹凸でもトンネル電流の大きさは大きく変わります。このため圧電素子と呼ばれる電子部品を用いて、針で試料表面上を走査しトンネル電流の大きさをコンピューターでマッピングすると、原子像を得ることができます。(右の図は高温超伝導体の原子像です。) もちろん、表面の原子像を見るだけでは超伝導のことは良くわかりません。同じ装置を用いて走査トンネル分光法(STS)という測定を行うと、針のある場所の試料の電子の詰まり方(物性論の言葉で言うと状態密度)を知ることができます。 このようにSTSは、表面構造でなく、電子状態を実空間で原子分解能を持って見ることができる強力な手法で、超伝導の研究に非常に役に立ちます。 このような超伝導の研究を中心として、他にもナノスケールの物理におけるいくつかの興味ある物質群を走査トンネル分光法という手法などを通して研究していきます。また、超伝導などの興味深い物性を示しそうな物質の合成なども手がけていきたいと考えています。
a 実験の好きな人 (これがいちばん重要!) b 卒業単位に余裕のある人 (量子力学、物性論等を履修していた方が望ましい) c 学生実験の高温超伝導の実験が面白かった人 d 目的意識をはっきりと持っている人 e 大学院進学希望の人 理論・実験を問わず研究は1人ではできません。 特に実験は、周りの人たちと協力していく機会が多いです。 このため社交性のある元気のいい人を歓迎します。 ○選考基準 0.説明会に参加するか、研究室訪問をすることが必要条件。 1.定員(年度によって異なるが10人程度)に満たない場合は希望者全員所属決定 2.定員を上回った場合は、上記 a-e を書類、成績(残り単位数)、進路、を総合して決定します。
○平成12年度 12名 大学院 6人 就職 4人 教職 1人 その他 1人 ○平成13年度 10名 大学院 7人 就職 2人 教職 0人 その他 1人 ○平成14年度 11名 大学院 11人 就職 0人 教職 0人 その他 0人 ○平成15年度 10名 大学院 9人 就職 1人 教職 0人 その他 0人 ○平成16年度 10名 大学院 7人 就職 2人 教職 1人 その他 0人 ○平成17年度 6名 大学院 3人 就職 2人 教職 0人 その他 1人 ○平成18年度 14名 大学院 4人 就職 9人 教職 0人 その他 1人 ○平成19年度 10名 大学院 5人 就職 4人 教職 1人 その他 0人 ○平成20年度 6名 大学院 4人 就職 1人 教職 0人 その他 1人 ○平成21年度 8名 大学院 5人 就職 2人 教職 0人 その他 1人 ○平成22年度 12名 大学院 10人 就職 1人 教職 1人 その他 0人 ○平成23年度 11名 大学院 9人 就職 1人 教職 1人 その他 0人 ○平成24年度 6名 大学院 5人 就職 0人 教職 1人 その他 0人 ○平成25年度 12名 大学院 7人 就職 4人 教職 1人 その他 0人 ○平成26年度 9名 大学院 8人 就職 1人 教職 0人 その他 0人
○平成14年度 3名 大学院博士課程 1人 就職 2人(製造業1、情報1) ○平成15年度 3名 就職 3人(製造業1、情報2) ○平成16年度 2名 大学院博士課程 1人 就職 1人(製造業1) ○平成17年度 2名 大学院博士課程 1人 就職 1人(情報1) ○平成18年度 5名 大学院博士課程 1人 就職 4人(製造業1、情報2、未定1) ○平成19年度 0名 ○平成20年度 2名 大学院博士課程 0人 就職 2人(製造業2、情報0) ○平成21年度 3名 大学院博士課程 0人 就職 3人(製造業1、情報0、その他1) ○平成22年度 2名 大学院博士課程 1人 就職 1人(製造業1、情報0) ○平成23年度 5名 大学院博士課程 0人 就職 4人(製造業4、情報0) 教員 1人 ○平成24年度 4名 大学院博士課程 0人 就職 4人(製造業3、情報1) ○平成25年度 3名 大学院博士課程 0人 就職 3人(製造業3、情報0) ○平成26年度 2名 大学院博士課程 1人 就職 1人(製造業0、情報1) 戻る |
東京理科大学 理学部 物理学科 坂田研究室