9603- インターネット  
 

インターネットにはまっている.僕の家では居間のテーブルにマッキントッシュとコンパックが置いてあって,それが朝になると目覚ましがわりにポーンという音がなる.自動的にスイッチが入り,ベッドから起きた僕は眠たい目をこすりながらパソコンをインターネットにつなぐ.そしてCNNのニュースをざっと眺め,電子メールの郵便箱をのぞく.パンをかじってコーヒーをすすりながら,いくつかのメールに返事を書いて一日が始まる.こんな生活はつい最近まで考えることができなかった.日常にインターネットのある生活は日本では最近始まったばかりである. ネットにつながっているパソコンと暮らすようになると,生活がたしかに変わってくる.たとえば,僕がテレビをみる時間はとても少なくなった.送られる情報を受けるだけのテレビとくらべて,自分で見たいものを選べて自分からも情報を送ることのできるネットはさわっていて単純に面白い.インターラクティブなのである.つまり,ゲーム的なところがある.また,仕事の仕方も変わった.自分の身体が仕事のためにあちこちへ行き来する必要が少なくなった.人と直接会うことが目的であるとき以外は,パソコンがあればどこにいても仕事ができる.わざわざ遠いところに定時に通う必要がなくなる.つまり,日常に自分のパーソナルな時間を差し挟んでいくことができるのである.時間にゆとりもできる. パソコンは建築や都市をどのように変えていくだろうか.ネットにつながったパソコンがあると僕たちの,家での暮らしかたが変わり,仕事の仕方が変わり,都市の中を移動する仕方が変わり,生活時間のデザインが変わる.建築も都市もそうした変化にあわせたデザインがあるのではないかと思う.考えて見れば,ゲーム的で日常にちょっとした非日常を差しはさむという感覚は,パチンコという遊びがもともとが備えている性質である.エレクトロレジャー施設ももっともっと変わっていくにちがいない.