faculty

荒木 修 (Osamu Araki) : 教授

学歴
1985 東京大学工学部計数工学科卒業
1993 ボストン大学大学院修了(M.A.)
1999 東京大学大学院工学系研究科修了(博士(工学))

職歴
1985~1996 松下電器産業株式会社
1999~2002 北陸先端科学技術大学院大学
2002~現在 東京理科大学理学部応用物理学科・大学院理学研究科応用物理学専攻


研究活動

 私は、脳の情報処理に興味があります。我々は、神経回路網の力学系が脳の認知機能に 寄与していると仮定して、神経回路網力学系から機能が創出されるメカニズムを明らか にしようとしてきました。我々は、シナプス可塑性を持つ神経回路網の力学系とスパイク パターンから現れる特性との関係を研究しています。例えば、嗅内野(EC), 歯状回(DG), CA3, CA1から構成される海馬体において、記憶のメカニズムの仮説を示しました。 さらに、神経回路網の力学系の状態が、シナプス荷重に記憶された情報の想起機能に 影響を及ぼすことを示しました。例えば、面白いことに力学系がカオス的であればある ほど、神経細胞の平均発火率は安定になるのです。生体の大脳皮質では、同期信号が 時々観測されます。我々は、スパイク・タイミング依存性のシナプス可塑性(STDP)が、 神経回路網において同期発火の生成に寄与する可能性を示しました。数値実験によると、 STDPによって、神経回路網モデルが特定の時空間パターンを同期出力に変換するように なりました。
 現在、我々は、神経回路網モデルとイメージングの手法を使って、意図的行動に関する 新しい研究課題に挑戦しています。行動意図のような重要な情報は、同期信号という高速 伝搬可能な信号形態で表現され、脳内をかけめぐると考えています。我々は、カオス力学 系による情報生成やシナプス力学系の情報処理への影響、意識下の行動計画の可視化など に強い関心を持っています。

所属学会
Society for Neuroscience
International Neural Networks Society
電子情報通信学会
日本神経回路学会

連絡先
renraku.bmp