薬理学(77)
問1 連用時の薬物依存形成に関する次の記述の正誤について,正しい組合せはどれか
コカインは強い精神的依存を起こすが,身体的依存はほとんど起こさない。
ジアゼパムは高用量でも精神的及び身体的依存を起こさない。
メタンフェタミンは強い精神的依存を起こすが,身体的依存は軽度である。
モルヒネは強い精神的及び身体的依存を起こす。
a
b
c
d
1
正
誤
誤
正
2
誤
正
誤
誤
3
正
正
正
誤
4
誤
誤
誤
正
5
正
誤
正
正
答
1
問2 次の記述のうち,正しいものの組合せはどれか。
細胞内にカルシウムイオンを放出する細胞内器官は,多くの細胞では小胞体である。
プロテインキナーゼC(Cキナーゼ)によるリン酸化には,サイクリックAMPの存在が必須である。
ミトコンドリアは,電子伝達系とは無関係である。>
ゴルジ装置は,顆粒の形成には関与しない。
微小管は,コルヒチンによって重合が阻止される。
1(a,b) 2(a,e) 3(b,c) 4(b,d) 5(c,e)
答
2
問3 平滑筋に関する次の記述のうち,正しいものの組合せはどれか。
収縮たん白の配列が不規則なため横紋様の構造は見られない。
消化管,子宮,呼吸筋などの意識的には動かすことのできない器官の運動に関与する。
自律神経に支配されている。
高濃度の塩化カリウムにより弛緩する。
高濃度のジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬は刺激薬による収縮反応を増大させる。
1(a,c) 2(a,e) 3!J#b!$#c!K!!#4!J#b!$#d!K!!#5!J#d!$#e!K
答
1
問4 シナプスの性質に関する次の記述の正誤について,正しい組合せはどれか。
シナプスの前膜と後膜との間には「すき間」がある。
興奮がシナプスを通るとき,時間の遅れがある。
シナプスの伝達は一方向性である。
反復刺激した場合,ニューロン伝導よりもシナプス伝達の方がより影響を受け易い。
a
b
c
d
1
正
誤
正
誤
2
誤
誤
誤
正
3
誤
正
誤
誤
4
誤
正
正
正
5
正
正
正
正
答
5
問5 薬物相互作用に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
ヒドロクロロチアジドはジギタリス製剤の心臓に対する毒性を増強することがある。
硫酸ストレプトマイシンは塩化ツボクラリンの筋弛緩作用を増強することがある。
塩酸イミプラミンは硫酸グアネチジンの血圧降下作用を減弱することがある。
高用量のプロベネシドはペニシリンの血中濃度を低下させることがある。
ニトラゼパムはアルコール飲料の併用により,その効果が増強されることがある。
答
4
問6 自律神経系に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
副交感神経節は比較的中枢に近く位置する。
交感神経節は比較的支配臓器に近く位置する。
副交感神経節前線維はコリン作動性である。
交感神経節前線維はアドレナリン作動性である。
コリン作動性神経終末へはアセチルコリンが取り込まれ,アドレナリン作動性神経終末へはノルエピネフリンが取り込まれる。
答
3
問7 Kc?l%$%L$rMQ$$$?0J2<$N
〔実験結果〕
少量のアセチルコリンをイヌに静脈内注射すると血圧は降下し,心拍数はやや遅れて一過性に上昇した。これらの作用はアトロピンにより遮断された。しかし,その後に多量のアセチルコリンを静脈内注射すると血圧が上昇し,心拍数も増加した。これらの作用は,ヘキサメトニウムにより遮断された。 〔推論〕
少量のアセチルコリンの血圧降下にはムスカリン受容体が関与していると考えられる。
少量のアセチルコリンによる心拍数の増加はアセチルコリンの洞房結節(洞結節)に対する直接作用と考えられる。
多量のアセチルコリンによる血圧上昇にはニコチン様作用が関係している可能性が高い。
多量のアセチルコリンによる血圧上昇は副腎髄質の摘出では影響されないが,プロプラノロールの投与で完全に抑制される可能性がある。
多量のアセチルコリン投与後血漿中のノルエピネフリンやエピネフリン及びそれらの代謝物の含有量は増加すると考えられる。
1(a,b,c) 2(a,b,d) 3(a,c,e) 4(b,d,e) 5(c,d,e)
答
3
問8 交感神経が興奮した時に,次に掲げる各効果器にみられる反応及び関与する受容体の組合せについて,正しいものはどれか。
効果器 反 応 アドレナリン受容体
瞳孔散大筋−−−−−弛 緩−−−−−−− α
心 室−−−−−−−拡 張−−−−−−− β1
皮膚血管−−−−−−収 縮−−−−−−− α
気管支平滑筋−−−−弛 緩−−−−−−− β2
腸管平滑筋−−−−−収 縮−−−−−−− β1
1(a,b) 2(a,e) 3(b,c) 4(c,d) 5(d,e)
答
4
問9 神経筋接合部におけるアセチルコリンに関する次の記述の正誤について,正しい組合せはどれか。
アセチルコリンはコリンとアセチルCoAからコリンエステラーゼによって生合成される。
アセチルコリンはシナプス小胞に蓄えられる。
アセチルコリンの神経終末からの遊離に細胞内カルシウムイオンは関係しない。
遊離されたアセチルコリンの不活性化の主要なメカニズムはコリンアセチラーゼによる代謝である。
a
b
c
d
1
正
誤
誤
正
2
誤
正
正
誤
3
誤
正
誤
誤
4
誤
誤
誤
正
5
正
誤
正
誤
答
2
問10 次の全身麻酔薬に関する記述の正誤について,正しい組合せはどれか。
亜酸化窒素は,麻酔導入は速やかであるが麻酔作用は弱い。
亜酸化窒素は,酸素欠乏症状を起こし易い。
ハロタンは,麻酔導入は遅いが麻酔作用は強い。
ハロタンは,心筋のエピネフリン感受性を高め,不整脈を起こし易い。
a
b
c
d
1
誤
正
誤
正
2
正
誤
正
誤
3
誤
誤
正
正
4
正
正
誤
誤
5
正
正
正
誤
答
4
問11 薬物の作用に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
バクロフェンは脊髄の単及び多シナプス反射を抑制し,筋弛緩を起こす作用がある。
クロルプロマジンは体温を上昇させる作用がある。
レセルピンは脳内モノアミン類を枯渇させる作用がある。
アミトリプチリンとイミプラミンは中枢作用の類似点が多い。
クロルジアゼポキシドは動物の攻撃的行動を抑制する作用が強い。
答
2
問12 抗パーキンソン病薬に関する次の記述のうち,正しいものの組合せはどれか。
カルビドパは線条体のドパミン受容体に結合して作用を発現する。
カルビドパはドパミンに代謝されて線条体で作用を発現する。
レボドパは線条体のドパミン受容体に結合して作用を発現する。
レボドパはドパミンに代謝されて線条体で作用を発現する。
カルビドパとレボドパを併用するとレボドパの用量を減少できる。
1(a,c) 2(a,d) 3(b,d) 4(c,e) 5(d,e)
答
5
問13 次の薬物のうち,オピオイド受容体との結合を介さないで鎮痛作用を発現するものの組合せはどれか。
塩酸ペチジン
塩酸モルヒネ
ケトプロフェン
ジクロフェナクナトリウム
ペンタゾシン
1(a,b) 2(a,e) 3(b,c) 4(c,d) 5(d,e)
答
4
問14 次に掲げる疾患に関し,治療薬及び用いてはならない薬物の組合せが誤ってい るものはどれか。
疾 患 治療薬 用いてはならない薬物
有機リン系農薬中毒−−−硫酸アトロピン−−−−プラリドキシムヨウ化メチル
うつ病−−−−−−−−−塩酸イミプラミン−−−レセルピン
てんかん大発作−−−−−フェノバルビタール−−トリメタジオン
重症筋無力症−−−−−−塩化ツボクラリン−−−サリチル酸フィゾスチグミン
気管支ぜん息−−−−−−塩酸エフェドリン−−−塩酸プロプラノロール
1(a,b) 2(a,d) 3(b,c) 4(c,e) 5(d,e)
答
2
問15 次の記述の正誤について,正しい組合せはどれか。
エンドセリン−1は,血管内皮細胞由来のペプチドで,血管平滑筋を収縮させる。
血小板はトロンビンをはじめ,種々の刺激によりセロトニンを遊離する。
セロトニン含有ニューロンの細胞体は,脳幹の縫線核にある。
メチセルジドは,抗ブラジキニン作用をもつため,胃摘出手術後のダンピング症候群の治療には用いられない。
a
b
c
d
1
正
正
正
誤
2
誤
正
誤
正
3
正
誤
正
誤
4
誤
誤
誤
正
5
正
誤
誤
誤
答
1
問16 次の各項は,抗アレルギ一薬として用いられる薬物についての記述である。正 しいものの組合せはどれか。
クロモグリク酸ナトリウムは,抗SRC−A作用により気管支平滑筋を弛緩させる。
塩酸プロカテロールはアドレナリンβ2受容体の刺激により,気管支平滑筋の弛緩及び気道抵抗の低下をおこす。
メキタジンは,強いヒスタミンH1受容体遮断作用をもち,同時に肥満細胞からケミカルメディエーターの遊離を抑制する。
メピリゾールは,気道粘膜のirritant受容体を介する副交感神経反射を抑制することにより,ぜん息発作を改善する。
トラニラストは,細胞内サイクリックAMP含量を増加させ,気管支平滑筋を弛緩させる。
1(a,b) 2(a,d) 3(b,c) 4(c,e) 5(d,e)
答
3
問17 次の作用(a〜e)のうち,アスピリンの作用と考えられないものの組合せはどれか。
内臓痛に対する強い鎮痛作用
血小板凝集阻害作用
消化性潰瘍誘発作用
プロスタグランジン生合成阻害作用
ピリン系薬物の副作用としての皮膚発疹作用
1(a,c) 2(a,e) 3(b,d) 4(b,e) 5(c,d)
答
2
問18 心室筋と骨格筋の収縮機序に関する次の記述のうち,正しいものの組合せはどれか。
興奮・収縮連関にかかわるカルシウムイオンは,いずれの筋でも細胞外から細胞内へ流入するもののみである。
体液中の電解質の組成は,いずれの筋の興奮性にも影響する。
いずれの筋も電気刺激をくりかえし加えると,しだいに加重$7$FBg$-$J<}=L!J6/=L!K$,$"$i$o$l$d$9$$!#
いずれの筋も1本の筋線維の収縮は,全か無の法則に従う。
いずれの筋の細胞膜にも,ニコチン受容体が多く分布し興奮に関与する。
1(a,b) 2(a,c) 3(b,d) 4(c,d) 5(d,e)
答
3
問19 3種のカルシウム拮抗薬(塩酸ベラパミル,塩酸ジルチアゼム,ニフェジピン)の薬理作用とその適応についての記述のうち,正しいものの組合せはどれか。
いずれの薬物も膜電位依存性カルシウムチャネルの機能を阻止する。
いずれの薬物をヒトに適用しても頻脈があらわれることは少ない。
いずれの薬物も心臓と血管に対する作用の選択性には差がない。
いずれの薬物も高血圧症,狭心症及び不整脈に共通して用いられる。
いずれの薬物も頭痛やめまいを生じる場合があり,それはこれらの薬物の主作用と関係している。
1(a,b) 2(a,e) 3(b,c) 4(c,d) 5(d,e)
答
2
問20 動悸が激しいので,それを抑制する目的で,ある薬物を適用したところ気道狭さくにより呼吸が困難となった。ここで適用したと思われる薬物は次のどれか。
塩酸エフェドリン
塩酸プロプラノロール
塩化ツボクラリン
l−塩酸イソプレナリン
クロモグリク酸ナトリウム
答
2
問21 次の記述のうち,正しいものの組合せはどれか。
アセタゾラミドは,炭酸脱水酵素を阻害するために,尿はアルカリ性となる。
イヌリンは,糸球体でろ過されるが,尿細管では再吸収も分泌もされない。
スピロノラクトンは,低カリウム血症を起こしやすい。
フロセミドは,高浸透圧尿を排泄させる。
チアジド系利尿薬は,糖尿病の誘発や高尿酸血症を起こさない。
1(a,b) 2(a,e) 3(b,c) 4(c,d) 5(d,e)
答
1
問22 次の記述の正誤について,正しい組合せはどれか。
レバロルファンは呼吸興奮作用を有し,モルヒネの呼吸抑制作用に拮抗する。
ニフェジピンは血管平滑筋を弛緩させるが,骨格筋は収縮させる。
ジギタリスは心臓の収縮力を増加させ,心拍数を減少させる。
アトロピンは,副交感神経を遮断して,縮瞳作用を示す。
プロカインはリドカインに比べてエステラーゼによる分解作用を受けにくい抗不整脈薬である。
a
b
c
d
e
1
正
誤
正
誤
誤
2
誤
正
誤
正
正
3
誤
正
誤
正
誤
4
誤
誤
正
誤
誤
5
誤
誤
誤
正
正
答
4
問23 次の抗ムスカリン薬のうち,鎮けい薬として用いられるものの正しい組合せはどれか。
塩酸トリヘキシフェニジル
トロピカミド
臭化プロパンテリン
臭化水素酸ホマトロピン
臭化メチルベナクチジウム
1 (a,b) 2(a,d) 3(b,e) 4(c,d) 5(c,e)
答
5
問24 次の記述のうち,誤っているものの組合せはどれか。
ファモチジンは,ヒスタミンH2受容体を介して胃酸分泌を抑制する。
上皮成長因子(EGF)は主に顎下腺に存在し,組織修復作用をもつ。
インスリンは血糖上昇作用を有するが,その他に胃粘膜細胞の増殖に対して
促進的に作用する。
エリスロポエチン(erythropoietin)は,膵臓から分泌され赤血球の分化・増殖を促進する。
ボンベシンは,ガストリンの遊離を介して胃酸分泌を促進する。
1(a,b) 2(a,e) 3(b,c) 4(c,d) 5(d,e)
答
4
問25 次の記述のうち,誤っているものの組合せはどれか。
エルゴメトリンには,子宮を収縮させる作用以外に血管収縮作用も認められる。
オキシトシンは,自律神経を介して子宮平滑筋を収縮させる。
塩化バリウムは,平滑筋に直接作用して強い収縮を起こす。
パパベリンは,血管平滑筋や気管支平滑筋を弛緩させる。
アトロピンは,気道分泌を抑制しないが気管支平滑筋を弛緩させる。
1(a,c) 2(a,d) 3(b,c) 4(b,e) 5(d,e)
答
4
問26 血液に関する次の記述のうち,正しいものの組合せはどれか。
トロンビンは,血小板凝集を促進する。
糖質コルチコイドは,T細胞の増殖を促進する。
ヘパリンは,血中脂質の分解を抑制し,高脂血症を誘発する。
トラネキサム酸は,プラスミンによるフィブリンの分解を阻害する。
プロスタサイクリン(プロスタグランジンI2)は,血小板の凝集を促進する。
1(a,b) 2(a,d) 3(b,c) 4(c,e) 5(d,e)
答
2
問27 次のビタミンについて,化学構造式,欠乏症,及び拮抗物質の組合せのうち,誤っているものはどれか。
構造式(図101)
┌ C
│ │
1 パントテン酸カルシウム −−− │ HOCH2C─ −−−−−− 脂質代謝障害,接触性皮膚炎 −−−ホモパントテン酸
│ │
└ C
2 葉 酸 −−−−−− 構造式 −−−−−−−−−−−−−
貧血−−−−アミノプテリン
3 塩酸ピリドキシン−−−−−−− 構造式 −−−−−−−−
(ビタミンB6)
$B!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!8}Fb1j!$HiIf1j!]!]!]!]!!(J何萄掃$B;@(J膨湫灼爪(何同灼爪)
4 塩酸チアミン−−−−−−−−− 構造式 −−−−−−−−
(ビタミンB1)
脚気,多発性神経炎 −−−オキシチアミン
5 フィトナジオン−−−−−−−−−−− 構造式 −−−−−−−
(ビタミンK1)
夜盲症,皮膚の乾燥・硬化−−− ジクマロール
答
5
問28 次の記述のうち,誤っているものはどれか。
上皮小体ホルモンは,血漿カルシウムイオン濃度低下により分泌される。
カルシトニンは,血漿カルシウムイオン濃度低下作用がある。
活性型ビタミンD〔1,25-(OH)2D3〕は,紫外線により皮膚で生合成される。
活性型ビタミンDは核レセプターに結合し,たん白合成を介して作用を発現する。
エルゴカルシフェロールは,活性型ビタミンDの前駆物質として用いられる。
答
3
問29 次の抗生物質とその主な副作用の組合せのうち,誤っているものはどれか。
セファロチンナトリウム−−−−−ジスルフィラム様作用
硫酸ストレプトマイシン−−−−−難 聴
ベンジルペニシリンカリウム−−−ショック症状
硫酸ポリミキシンB−−−−−−−腎障害
テトラサイクリン−−−−−−−−交代症
答
1
問30 次の薬物(a〜e)のうち,免疫抑制薬として用いられるものの正しい組合せはどれか。
アザチオプリン
シクロスポリン
スルピリド
クロラムフェニコール
エリスロマイシン
1(a,b) 2(a,e) 3(b,c) 4(c,d) 5(d,e)
答
1