(本稿は学生の投稿に対する返答としてサイエンス夢工房「化学が楽しくない?」に掲載されました。誌上では標題が抜け落ちています。)

拝復

『私はいつから化学が得意になったんだろう。なぜ得意なんだろう。なぜ好きなんだろう。それはとてもささいなことが原因だったように思う。そう。小学生の頃、父がクリスマスのプレゼントに化学実験キットを買ってくれたことがきっかけだった。妹と共同の部屋だったけど、化学の実験室みたいにして学校から帰るといつも実験をしていたっけ。ヨウ素−でんぷん反応が面白くて雑誌の付録でもらったヨウ素のアルコール溶液をいろんな食べ物にかけたときは、母にずいぶん叱られたな。炎色反応のときもコンロの周りを塩だらけにして大目玉。そんな実験をするたびにいろんな疑問が湧いて来たっけ。そのときは答えが分からなかったけど、高校、大学、大学院と進学していくごとに子供の頃の疑問が氷解していくのが楽しかったな。進学してから振り返ると、そのときそのときは何も分からずに暗記していただけだった気もするけど、いつの間にか仕組みが分かって「そういうことだったんだ!」ってね。そんな経験を繰り返すうちに、覚えることも苦にならなくなったんだな、きっと。
 この人は中学校で教わったことに疑問を持たなかったのかな。でもやっと勉強の仕方が分かったみたいだね。はやく化学が得意になるといいね。(理学部教員MK夫)』

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