東京理科大学 infoserv[更新日]1999.11.10


次の問15から問17までの14問については,この中から1問を選択し,
答案用紙の選択欄のをマークして 解答してください。
 なお,2問以上選択した場合には,はじめの1問について採点します。

問15 内部設計に関する次の記述を読んで,設問 1 〜 3 に答えよ。

関係データベースの論理設計の過程で正規化されたデータ構造は,データの分析から 論理的に導かれたデータ構造であり,ユーザやアプリケーションプログラムからの データベース使用状況は考慮されていない。そのため,実際のデータベースの使用条件を 考慮して,処理効率の良い実用的なデータベースを構築するには,正規化された データ構造を見直す必要がある。

例えば,表を統合した場合,検索時には表の結合処理がなくなるので,処理量は 減るが,更新時には重複したデータ間の一貫性を保つための処理量が増えるという特徴が ある。データ構造を見直す場合,検索処理が頻繁に行われる表であるか,更新処理が 頻繁に行われる表であるかを確認し,検索処理の頻度の高い表に着目して正規化を 崩していくことがある。

M 社では,受注業務システムを開発し,受注業務の効率を良くしようと している。M社には他の業務システムもあり,共用できるデータベースの表は, 利用することにした。次の各表は,受注業務にかかわるデータベースの論理設計の 結果である。

〔データベースの論理設計の結果〕

  1. 顧客表
  2. 顧客コード

    顧客名

    住所

    電話番号

    都道府県コード

  3. 受注表
  4. 受注番号

    顧客コード

    受注年月日

    納期

    担当部署コード

  5. 受注明細表
  6. 受注番号

    商品コード

    受注個数

  7. 商品表
  8. 商品コード

    商品名

    単価

    取扱終了年月日

  9. 担当部署表
  10. 担当部署コード

    担当部署名

    人数

  11. 地方コード表
  12. 地方コード

    地方名

  13. 都道府県コード表
  14. 都道府県コード

    都道府県名

    地方コード

  15. 在庫表
  16. 商品コード

    在庫個数

ここで,受注業務システムでしか使わない表は,顧客表,受注表,受注明細表, 地方コード表及び都道府県コード表である。受注業務では,九つの地方とこれを 細分化した
47 の都道府県に分けて,管理単位を設定している。

商品表は,営業業務システムによって,週 1 回程度更新される。

担当部署表は,人事業務システムによって,年 1 回程度更新される。

在庫表は,在庫管理業務システムによって,頻繁に更新される。

受注業務に関する処理と各表の使用状況を把握するため,処理と各表の関係を示す表を作成した。

表 処理と各表の関係

処理名

処理形態

処理件数

表 名

顧客

受注

受注明細

商品

担当部署

地方コード

都道府県

コード

在庫

受注

オンライン

100件/日

受注検索

オンライン

200件/日

顧客検索

オンライン

130件/日

在庫検索

オンライン

150件/日

顧客リスト出力

バッチ

2回/週

顧客表保守

オンライン

20件/日

追,更,削

参:参照,追:追加,更:更新,削:削除  

設問1 受注業務システムの範囲において,データ量の増加を少なく おさえることを考慮しつつ,結合処理を減らすために正規化をあえて崩し,二つの表を 統合して一つの表とするとき,統合の対象となる候補として適切な二つの表はどれか。 解答群の中から二つ選べ

解答群

 ア 顧客表      イ 在庫表     ウ 受注表

 エ 受注明細表    オ 商品表     カ 担当部署表

 キ 地方コード表   ク 都道府県コード表 

設問2 受注検索処理は,1 日の処理件数が最も多く,速い応答が 要求される。受注検索結果画面を図 1 に示す。この画面は,受注番号を与えると 表示される。
 応答を速くするためにデータ構造を見直す候補として適切なものを,解答群の中から 選べ。

 

図1 受注検索結果画面

解答群

 ア 顧客表のデータ項目に,都道府県名を追加する。

 イ 顧客表のデータ項目に,都道府県名,地方名を追加する。

 ウ 受注表のデータ項目に,顧客名を追加する。

 エ 受注表のデータ項目に,顧客名,担当部署名を追加する。

 オ 受注明細表のデータ項目に,商品名を追加する。

 カ 受注明細表のデータ項目に,商品名,単価,取扱終了年月日を追加する。

設問3 次の記述中の に入れる適切な答えを, 解答群の中から選べ。

顧客検索処理のために,図 2 に示す顧客検索結果画面を設計した。この画面は, 顧客コードを与えると表示される。

ここで,前月受注件数及び顧客現在数には,この顧客の都道府県名と同じ都道府県の 前月の受注件数と現在の顧客数を表示する。

図2 顧客検索結果画面

導出関係によって引き出されるデータ項目の計算方法を検討し,オンライン照会の 応答を速くしたい。

導出データ項目の計算方法として,次の三つを検討した。

(1) 参照時計算
導出データ項目の参照時にその都度計算する。
計算結果は,データベースに格納しない。

(2) 更新時計算
導出元データ項目を更新したときに,導出データ項目を計算する。
計算結果をデータベースに格納する。

(3) 非同期計算
ある決まった時点で導出データ項目を計算し,データベースに格納する。
導出元データ項目が更新されても,導出データ項目を計算しない。

導出データ項目“前月受注件数”は, によって行う 。

導出データ項目“顧客現在数”は, によって行う 。

解答群

 ア 更新時計算    イ 参照時計算    ウ 非同期計算


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