産業流体機械分野の研究

1.長方形ダクト内流におけるナノ粒子付着現象に関する数値的研究

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 近年、流体機器内の配管において、ナノ粒子付着による圧力損失の増大が問題となっている。現状、流体機器内で生じる粒子付着現象のメカニズムは未だに解明されておらず、粒子付着の過程とその制御法について理解することが必要である。粒子がナノサイズに到達した場合、粒子は熱泳動の影響を強く受ける。本論文では、熱泳動によるナノ粒子付着現象を調査し、粒子堆積層が流れ場及び粒子付着に与える影響を数値計算により調査した。その結果、熱泳動により壁面にナノ粒子が付着し、堆積層が流れ場を変化させる相互作用が観察された。

2.軸流ファンの騒音予測

 扇風機やクーラー、冷蔵庫、パソコンなどの電子機器には、全てファンと呼ばれる回転機械が使用されている。それらの回転機械で一番わかりやすい例は扇風機であるが、ファンが回ると必ず音が発生する。本研究では、その音をコンピュータによって再現する研究を行っている。理由は2つあり、一つは、まだ誰も成功していないためであり、もう一つは、再現ができればファンによる音を根本的に軽減できるからである。再現するということは、どこからどのような音が出るかわかっているということになる。逆に、それが分かれば、うるささを消す手がかりにもなるのである。

3.サンドエロージョン現象の数値予測

 近年、CMCという素材が、航空機のジェットエンジンの高温部材として注目されている。しかし、このCMCはサンドエロージョンに弱いという欠点がある。サンドエロージョンとは、砂粒子がエンジン入口から吸引されてエンジン内の材料に損傷を与える現象である。これを防ぐために、CMC表面にコーティングを施すが、その耐エローション性には未解明な点が多い。その解明のため、本研究ではCFDを用いてCMC基板やCMC翼を対象としたエロージョンシミュレーション行っている。