環境分野の研究


1.汚染物質除去法に関する数値的研究

Numerical Simulation on Chemical Agent Removal Procedure

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 近年、世界各地で様々なテロ事件が発生し、世界中に不安が広がっている。テロへの転用が懸念される兵器の中でも、生物・化学兵器は、致死率が非常に高いため、大きな社会的混乱を招く。さらに、これらの兵器は製造が比較的容易であることから、特に危険視されている。テロ事件では多くの一般市民が犠牲になる上、発生する時と場所の予測が困難であるため、有事の場合を想定した除染技術の研究開発が急務となっている。しかし、実験による様々な除染技術の研究開発は、危険性や法律による制限から困難を極めている。そのため、数値シミュレーションによる研究開発は有効な調査手法である。本研究では、ガス除染系における有毒化学剤液滴消滅過程を包括的に数値予測することを目的とする。

2.海中防波堤の数値シミュレーション

Numerical Investigation on Submerged Breakwater

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 津波災害の被害を抑制・軽減する方法の一つとして、防波堤が挙げられる。しかし、従来の防波堤は想定以上の大きさの津波に対する強度が低いことや、景観を損なうなどの問題もある。これらの問題に対する対策の一つとして、海中防波堤が提案されている。 従来型の防波堤による津波の抑制に関する研究は数多く行われているが、海中防波堤による津波抑制効果は、これまでほとんど検証されていない。そのため本研究では、海中防波堤を設置した際の津波挙動について、粒子法を用いた数値シミュレーションを行い海中防波堤の津波抑制効果を調査・検証する。

3.洋上大型風車の空力性能向上に関する研究

 地球温暖化問題への対応として再生可能エネルギーに一層の注目が集まる中、発電コストの面から風力発電は有力なエネルギーとして普及が進んでいる。風力発電の経済性を高める運用手段として、1つのサイトに複数台の風車を集約的に配置するウィンドファーム(大規模風力発電所)が知られている。しかし、風車の集約配置にはデメリットも存在する。それは、風車後流の干渉が生じ、後流内に存在する風車が発電に十分な風を受けることができず、全体の発電量の低下を招いてしまうことである。そこで、本研究では、風車後流の干渉回避をシミュレートすることに焦点を当て、ウィンドファーム内の総発電量の改善に貢献することを目的としている。