| 阿比留 大輔 | 硬化油製造のマイクロスケール実験
脂肪油にニッケルを触媒として用い、水素付加させ固体にしたものを硬化油と呼んでいます。 身近な所では、マーガリンやショートニングとして用いられています。 しかし、現行法では高温(160〜180℃)にする必要があること、重金属廃液の処理などの問題があります。 そこで本研究では、学校現場で行える硬化油製造の実験教材開発を目的としています。 キチン(Chitin)にパラジウムを担持させたChitin‐Pdを触媒として、水素付加の検討を行っています。 キチンは高い金属吸着能力をもち、パラジウムは高い反応活性をもつ金属なので用いています。 現在は、脂肪油中に多く含まれる成分のオレイン酸メチルおよび種々の油脂を用いて、反応条件の検討を行っております。 ![]() |
| 長ア 一樹 | 簡便なエステルの呈色反応 −植物油の構成脂肪酸による識別−
油脂は人間生活に密接に関わっている物質です。 高校化学での油脂を用いる実験教材は、けん化によるセッケン作りが一般的です。 しかし、油脂を構成する脂肪酸の組成(特に分子量)を識別する実験は教科書に記載されていません。 本研究では、すでに当研究室で見出されている、陽イオン界面活性剤触媒を用いるエステルの呈色反応(ヒドロキサム酸鉄(V)法)を油脂へと展開し、油脂の脂肪酸組成の相違を簡便に識別できる実験教材の開発を目的としています。 |
| 堀 葉月 | スズメッキを用いた青銅の生成
本研究では合金を作成する実験の中で、銅とスズの合金である青銅(ブロンズ)の作成に着目しました。 青銅というと青緑色のイメージですが、作りたての青銅では青銅本来のきれいな金色が楽しめます。 しかし、現行の高校化学の教科書に掲載されている青銅の作成法は、るつぼ中でスズ(融点232℃)を融解させた後、 銅を溶解させるという方法です。この方法ではかなりの高温を維持する必要があること、 また高熱による実験者への負担が大きいことなどが問題点として挙げられます。 一方、合金を作成する簡単な実験として、銅板上に無電解亜鉛メッキを行い、 バーナーで加熱する黄銅の作成法が知られています。そこで、これに習い、 銅板上に無電解スズメッキを施した上でバーナーによる加熱を行い、銅の表面に青銅を作成する方法を検討しています。 |
| 藤野 裕樹 | 電解ヨードホルム反応の教材開発
ヨードホルム反応は高校の有機化学で学習する反応の一つです。 従来法には、扱いにくい単体ヨウ素を用いたり、70℃以上の高温でさせるといった問題点があります。 そこで本研究では、室温で安全に行えるヨードホルム反応の実験法を開発しています。 現在はアセトフェノンを基質とし、触媒の探索を行っています。 ![]() |
| 山本 剛 | 陽イオン界面活性剤によって加速されるエステルのけん化 −セッケン合成への応用−
油脂のけん化反応は高校の有機化学において学習する、重要な反応の一つです。 しかし、教科書に記載されている実験方法には、 濃い水酸化ナトリウム水溶液の使用や引火性液体であるエタノールのガスバーナーによる加熱など、 実験者の危険を伴う記述が見られます。 そこで本研究では、陽イオン界面活性剤を触媒として用いることで反応条件が穏和になり、 これらの問題が解決できると考え実験を行っています。現在は油脂の中でも一般的なヤシ油を基質として、 けん化を行い最適な反応条件を検討しています。 ![]() |
| 河野 貴弘 | 乾性油の酸化による迅速な硬化
乾性油は、油絵の具やニスなどの原料に利用されています。 しかし、乾性油の硬化を観察する実験教材は知られていません。 一方、乾性油を含む油絵の具の硬化を促進する画用液“シッカチーフ”が市販されていますが、シッカチーフを用いても、乾性油の硬化には24時間以上を要します。 またシッカチーフは重金属を含むので、実験に用いると、廃棄物に対するケアが必要となります。 そこで本研究では、乾性油を素早く、クリーンに硬化させる方法を開発しています。 |
| 中村 将雄 | ジアゾカップリング反応をキーステップとするアセトアミノフェンの合成
本研究は、アセトアミノフェンの合成の実験教材化を目標としています。 通常この実験は、p-アミノフェノールまたはp-ニトロフェノールを出発物質として行われます。 p-ニトロフェノールはフェノールのニトロ化によって得られますが、副生成物としてo-ニトロフェノールができてしまいます。 そこで本研究では、フェノールのp位への窒素原子の導入法として、p-選択性の大きいジアゾカップリング法を利用することにしました。 中間体として得られる4-アミノアゾフェノール(p-ヒドロキシアゾベンゼン)のアゾ結合を還元的に切断すれば、p-アミノフェノールが得られます。 現在は、このステップに最適な還元法を探索しています。 |
| 早川 駿 | キトサン担持金(V)化合物を用いた糖類の識別
三大栄養素の一種である糖類(炭水化物)には、単糖、二糖、およびアルドース、ケトースといった構造上の分類が存在しますが、これらを単一の操作で簡便に識別する方法は、ほとんど知られていません。 本研究では優れた重金属吸着能力を持つマリンバイオマスであるキトサンに金を吸着させた、キトサン担持金(V)化合物を用いて、単一の操作で糖類の識別を行える手法を開発しています。 ![]() |
| 上原 智 | キチン担持金(V)化合物を触媒として用いたアルキンの水和
アセトアルデヒドの工業的な合成法は、かつては水銀(U)触媒を用いるアセチレンの水和法でした。しかし水俣病の原因となったこの方法は現在では全く行われておらず、高校化学の教科書でも反応が紹介されているのみで、実験教材として扱われることはなくなりました。 本研究では、水銀触媒を用いることなくアセチレンからアセトアルデヒドを合成する実験教材の開発を目標としています。現在はモデル反応として、フェニルアセチレンのアセトフェノンへの変換に取り組んでいます。 ![]() |
| 浦 公佑 | ホウ酸シリカゲルによるアルコールの脱水と炭素骨格の転位
アルコールの脱水は、アルケンの合成法として、高等学校の化学で学習されます。 この反応では、濃硫酸が一般に用いられています。 しかし濃硫酸を生徒実験に用いる場合、皮膚の薬傷や衣服の損傷の危険があります。 濃硫酸の代わりに十酸化四リンを用いることもありますが、環境上の規制の厳しいリン廃液が生じます。 本研究では、酸化ホウ素を担持したシリカゲル(ホウ酸シリカゲル)と硫酸塩の混合物を用いるアルコールの脱水反応のメカニズムを探索しています。さらに、脱水の際におこる炭素骨格の転位を利用した、テルペン系香料の合成を目指します。 |
| 廣瀬 彰訓 | ヒドロキサム酸鉄(V)法によるプラスチックの識別
中学校理科、高等学校の化学あるいは科学と人間生活では、プラスチックについて学習し、種々のプラスチックを識別する実験が扱われます。 従来は密度や燃焼の比較、定性的な元素分析による識別が行われていましたが、プラスチックを有機化合物として捉えた官能基による識別法は知られていません。 私は、当研究室で見出された「陽イオン界面活性剤触媒を用いるエステルの呈色反応(ヒドロキサム酸鉄(V)法)」を適用し、特にポリエステル系プラスチックを識別する実験教材の開発を行っております。 |
| 三品 百合衣 | キトサン(III)化合物を用いた2-デオキシ糖と2-ヒドロキシ糖の識別
糖類には、塩基性水溶液中で還元力を有する還元糖と、還元力を有しない非還元糖とがあり、還元力を有するには2位の炭素原子上にあるH原子とOH基が必須であることが当研究室で確認されています。 本研究では、糖類の還元性の原因を学習する教材の一環として、重金属吸着力の高いキトサンに金(III)化合物を担持させた試薬を用い、2-ヒドロキシ糖と2-デオキシ糖を識別する手法を開発しています。 |