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研究室選びの季節

今年も化学科の3年生が、4月から卒業研究を行う研究室を選ぶ季節がやってきました。佐竹研は理学部に属しており、研究テーマの設定方針は独自のユニークな化学(科学)の種を見つけ、育てることです。ユニークな種を見つけることは容易ではありませんが、見つけて育てる喜びと経験は何物にも代えがたいです。まだ公開はしていませんが、ポルフィリンを用いた超分子系で面白いことが幾つか見つかっています。4月から新しいメンバーとエキサイティングに研究が出来ることを楽しみにしています。

 

2024年01月25日

なぜポルフィリンなのか?と聞かれます

ポルフィリンの研究テーマが多い研究室なので、しばしばなぜポルフィリンなのかと聞かれます。いくつか理由があります。1つは作る楽しみ。ポルフィリン合成の際にはコールタールみたいな黒い物質がほとんど必ず副生しますが、この中からダイヤモンドのように(感じ方に個人差があります)輝くポルフィリンが掘り出されると喜びを覚えます。2つ目は、ポルフィリンの多彩さ。ポルフィリンは光合成系で用いられているクロロフィルと類似の構造をした色素です。可視光を強く吸収するため、色素同士が接近することによって相互作用が起こります。この相互作用によって色が変化する(正確には吸収スペクトルが変化する)ために、何かが起こっていることがどの研究室にもあるような汎用の装置で検出ができます。このような変化を検出できる色素は意外に少ないのです。この光学的な特性に加えて、ポルフィリンは金属イオンを取り込むことによって配位結合を形成します。取り込める金属の種類は様々ですが、亜鉛イオンを使った研究が多いです。金属ポルフィリンの光学特性、配位化学については、昔から研究されていて、いわば「かなり分かっていること」です。現代でもよく分かっていないことは、複数の金属ポルフィリンあるいは金属ポルフィリンと別の機能性分子が組み合わさったときに起こる現象です。光合成関連の研究の過程で、単独のポルフィリンでは起こらない現象がつぎつぎに見つかります。「なんなんだ、これは!」という感じです。この興味深い現象を探求していくのが、今の佐竹研のテーマ設定方針です。光合成系はあまりに複雑ですごいので、完全な人工構築はいまの人類には不可能(個人的な意見)ですが、光合成研究から生まれる派生化学は大学の1つの研究室でも研究できます。というよりも、大学が基礎研究としてやるべきことと信じています。なにせ今は誰もやっていないニッチな領域ですので。

 

2023年02月02日

大学院の授業 光合成概論

大学院の授業としては隔年で「分子集積化学特論3」を担当しています。この授業は、光合成の初期過程を分子論的に解説し、光合成系の分子複合システムを概観します。光合成は化学系の大学院生が科学(Science)を学ぶのに最適な教材であると考えています。光合成系は有機化学、錯体化学、超分子化学、光化学、タンパク質化学、分子細胞生物学、進化生物学などすべての化学分野が関わっているため、履修されている学生自身の研究や興味と必ず何らかの接点があります。そこからその周囲の化学に興味を広げ、科学を概観してもらうことがねらいです。当研究室の研究テーマは、光合成系に何らかの接点があります。今後少しずつ紹介していきたいと思います。

2023年01月16日

学部の授業「有機化学0」

当方は学部では有機化学の授業を複数担当しています。学生のアンケートでは「有機化学0」という科目が印象に残るそうです。有機化学に興味を持ってもらうために教科書章末に記載されるコラムを取り上げたユニークな授業です。毎回あるテーマに関して履修生に賛成派または反対派になりきって意見を述べてもらっています。普段発言しない人もオンライン上の「なりきりワークショップ」では責任を持って発言してくれます。

2023年01月16日

ブログ始めようかな

HPビルダーをつかって久々にHPを刷新しました。SNS全盛の時代ですが、あえてブログで発信します。マイペースで。

2023年01月16日
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