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Hadron Physics Group, TUS

東京理科大学理学部第1部物理学科 ハドロン物理研究室

研究活動research work

 ハドロンとは陽子などのような強い相互作用をする素粒子で私たちの世界の物質を構成しています。現在では、ハドロンは素粒子クォークが強い相互作用の基礎理論である量子色力学(QCD)により束縛した物理系であることがわかっています。この力を伝えるのはゲージ粒子であるグルーオンです。強い力以外にも、電磁気力や弱い力で相互作用をしており、これらを記述する理論体系が標準模型です。重力理論と合わせた4つの力を理解すると、物質の成り立ちを理解するだけでなく、宇宙初期に起こったであろう現象や、宇宙に存在する様々な天体の成り立ちを知ることができます。
ハドロン物理についての解説はこちら

ゲージ・重力対応を用いた高エネルギーハドロン散乱過程

活動報告写真

ハドロン内部のクォーク、グルーオンを調べる最も有効な方法は高エネルギーの仮想光子による非弾性散乱です。しかしQCDは非摂動的な相互作用をするため、small-x領域と呼ばれるグルーオンが支配的に寄与する領域の理解は特に難しいことが知られています。ここでは直接ゲージ重力理論であるQCDを扱わず、AdS/CFT対応と呼ばれる手法を用いて、5次元の曲がった時空における重力理論を用いて計算を行います。
得られた結果は陽子などの断面積を広い運動量領域で再現します。


量子異常を考慮した輸送現象と強い場による粒子の対生成

強い電磁場などにより真空にエネルギーが加えられたときには、粒子・反粒子の対が発生すると考えられています。この現象はSchwinger効果と呼ばれています。高エネルギーハドロン散乱でクォーク、グルーオンが多重発生する現象もその一つと考えられており、近いうちに大強度レーザーを用いて実験で確かめられると信じられています。
一方、強い磁場が存在する物理系では量子異常によって生じる新しい現象が注目を集めています。その一つが、カイラリティ非対称な物理系で磁場と平行な方向に電流が流れるカイラル磁気効果です。このような現象の基礎的な面を解析的手法を用いて明らかにするとともに、初期宇宙におけるleptogenesisの輸送過程への応用などを研究しています。

高温高密度下でのクォーク物質

通常はハドロンの中に閉じ込められているクォークも、高温、高密度など特殊な環境下では閉じ込めが壊れ自由に運動できるようになります。その状況下でのクォーク物質の性質を研究しています。そのような物質は、初期の宇宙や、高密度の天体内部に存在すると考えられています。近年は、
 非一様なカイラル凝縮とそのゆらぎ
 クォーク物質の強磁場下での性質
などについて研究を行っています。


今年度の卒業研究テーマ

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過去の卒研の記録