硤合 憲三教授がハンガリーのパンノニア大学から名誉博士号(Doctor Honoris Causa)を拝受
本学理学部第一部 応用化学科 硤合憲三教授がハンガリーのパンノニア大学から名誉博士号(Doctor Honoris Causa)を授与されました。
称号名 : 名誉博士号
受賞内容 : L-アミノ酸やD-糖類は,タンパク質や遺伝子として生物を構成する主要化合物である。興味深いことに,これらは(右手と左手の関係のように)実像と鏡像を重ね合わせることができない関係にあるキラル(不斉)な分子である。しかも地球上の全ての生物を通じて同じL-アミノ酸やD-糖類を用いており,そのホモキラリティーの起源の解明は,生命の起源にも関連する科学における謎とされ,長年に渡り大きな興味を集めている。硤合教授は,不斉自己触媒反応を発見した。本反応は,最初に僅かな不斉を持つピリミジルアルカノールが,含窒素アルデヒドと亜鉛試薬の反応において不斉自己触媒として作用し,自己と同一構造を持つピリミジルアルカノールが鏡像体過剰率を向上させながら不斉自己増殖するものである。本反応は,極微小を持つキラル化合物から極めて高い鏡像異性体に至る化学過程が存在することを明らかにしたものである。同教授のNature論文(1995年, 378巻, 167頁)は,Nature編集者が選んだ1950-2000年の過去50年間にNatureに掲載された化学厳選論文35報に入っており,現在ではSoai reaction (硤合反応)として引用言及されている。同教授は,さらに不斉自己触媒反応を用いて絶対不斉合成,円偏光を用いる不斉自己触媒反応,キラルなミネラルである水晶,辰砂を不斉開始剤とする不斉自己触媒反応,アキラルな有機化合物が形成するキラル結晶を不斉開始剤とする不斉自己触媒反応を見出している。同氏の論文は,化学分野のみならず,物理学,生物学,数学,宇宙科学,生命の起源など幅広いジャーナルに引用されており,科学の広い分野にインパクトを与えている。 以上の顕著な科学的業績により,硤合教授はパンノニア大学 (ハンガリー,University of Pannonia)から名誉博士号 (Doctor Honoris Causa)を授与された。
受賞テーマ : Discovery of Asymmetric Autocatalysis
受賞日 : 2015年9月4日
パンノニア大学のホームページ(外国語サイト)
http://www.uni-pannon.hu/
パンノニア大学内名誉博士号授与に関するページ(外国語サイト)
http://mk.uni-pannon.hu/index.php/cimlap/hirek-es-esemenyek/689-prof-kenso-soai-doctor-honoris-causa-eloadasa
硤合研究室のページ
研究室のページ:
http://www.rs.kagu.tus.ac.jp/soai/
大学公式ページ(硤合教授):
http://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/index.php?729