お知らせ

保坂 知宙君(駒場研究室 博士3年)、吉野 隼矢君(工藤研究室 博士3年)、海老名 彩乃さん(根岸研究室 修士2年)、永塚 健悟君(工藤研究室 学部4年)が2020年度東京理科大学学生表彰式にて表彰

3月11日(木)に「2020年度東京理科大学学生表彰式」が神楽坂キャンパスで行われました。
今年度は新型コロナウイルス感染症の感染予防のために表彰式の規模を縮小し、開催いたしました。

この表彰は、研究等の成果が特に優れていると認められる学生を対象としています。2020年度は、学業・研究等の成果が優れているとして理学部第一部応用化学科から4名の学生が表彰され、松本洋一郎学長から表彰状と副賞が贈呈されました。

今年度の表彰は以下の通りです。

理学研究科 化学専攻 博士後期課程3年 保坂 知宙君
カリウムイオン蓄電池の材料研究に一貫して取り組み、以下に述べる非常に優れた研究成果を挙げている。

  • 希少金属が必要なリチウムイオン蓄電池に対して、希少金属や毒性元素を一切使わない次世代蓄電池として、4ボルト級カリウムイオン蓄電池の世界初の実証に貢献し、電極や電解質に応用できる新材料を見出している。その上で、国際共同研究や大型プロジェクトにも大きく貢献している。
  • 査読付きの英語論文11報に貢献し、そのうち7報は筆頭著者として出版された。全ての論文が、米英の化学会等の高IFの国際誌に掲載された。総引用回数は800以上、h-indexは7を数える程の高い注目度で、研究の独創性と先進性を示している。
  • 特筆すべきは2020年、Chemical Reviews誌(IF = 52.8)に掲載されたカリウムイオン蓄電池の総説論文に筆頭著者として貢献したことである。当該研究のバイブル的論文として1年間で100回以上引用され、本学生の名は研究コミュニティーの中で世界的に広く知られている。
  • 日本化学会・Wiley社が出版するThe Chemical Record誌(IF = 6.1)にも筆頭著者として総説論文が掲載されCover Artに採択された。
  • 国際学会や国内学会で積極的に研究成果を発表するだけでなく、世界中の研究者とも積極的にコミュニケーションをとりながら最新情報を把握し、自身の研究を格段に発展させる高い能力を有している。
  • 6件の特許出願にも貢献し、応用研究として意義ある発明成果も得ており、成果の一部は本人の実名、写真入りで日経産業新聞に二度掲載された。

理学研究科 化学専攻 博士後期課程3年 吉野 隼矢君
光触媒による水からの水素製造および二酸化炭素資源化は人工光合成という観点から学術的に興味深いテーマである。さらに、資源・エネルギー・環境問題を解決する科学技術であることから、国も推進している社会的に意義が高い研究課題である。吉野氏は、金属硫化物光触媒を用いて独自に開発したZスキーム型光触媒を用いることにより、簡便な粉末光触媒系による水を電子源(水素源)とした可視光照射下における二酸化炭素資源化を世界で初めて実証した。この成果は、人工光合成や光触媒分野において、国内外で高く評価されている。

  • 上記成果を約200ページの英語博士論文にまとめた。
  • 上記成果を国際雑誌(JACSを含む高いIFを有するアメリカ化学会誌3報)、および日本語の依頼総説2報を発表した。その中で、JACSに掲載された論文は、原著論文でありながら約270回引用されており、WOSで高被引用文献に指定されている。さらに、国際雑誌に投稿すべく数報の論文を執筆中である。
  • 国内学会で24件、国際会議で9件(海外でのOral 1件、海外でのPoster 1件)という数多くの学会発表を精力的に行ってきた。この中で、学生でありながらアメリカで開催されたInternational Conference on PhotochemistryのOral発表に採択され、立派に発表したことは、特筆すべきである。
  • 国内学会でポスター賞3件、国際会議でポスター賞3件を受賞した。この中で、英国王立化学会(会員数51,000人)のJournalの冠Poster賞であるCatalysis Science & Technology Poster PrizeおよびEnergy & Environmental Science Poster Awardの2件を受賞したことは、輝かしい業績である。
  • オーストラリアのUniversity of New South Walesとの国際共同研究に関して、2報の共著論文を発表した。
  • 国内企業との共同研究(共著論文1報、特許1件、さらに論文投稿および特許申請を準備中)に貢献した。
  • 以上述べたように、世界最高レベルの研究成果のみならず、数多くの学会発表およびポスター賞受賞、国際および産学共同研究を行ってきたという多方面にわたる業績・活躍は高く評価される。

理学研究科 化学専攻 修士課程2年 海老名 彩乃さん
金属原子の凝集を原子精度にて精密に制御する新たな技術を確立した。

  • 4報の学術論文を出版した。
     Small, in press.(IF = 11.46)[第一著者]
     Nanomaterials, 10, 1105 (48 pages) (2020).(IF = 4.32)[第一著者]
     Nanoscale, 10, 8017-8039 (2020).(IF = 6.90)
     分析化学, 68, 11, 825-838 (2019).
  • 学術論文が国際誌のFront Coverに選出された。
     Nanoscale, 10, 8017-8039 (2020).(IF = 6.90)
  • 学術論文が国際誌にてHot Topicに選出された。
     Small, in press.(IF = 11.46)
  • 2つの国内学会及び1つの成果報告会にて受賞した。
     CSJ化学フェスタ2020 優秀ポスター発表賞(日本化学会;会員数28,400人)
     日本分析化学会第68回年会 若手ポスター賞(日本分析化学会;所属会員数9,000名)
     平成30年度総合研究院ナノカーボン部門合同成果報告会 優秀発表賞(東京理科大学総合研究院)
  • 候補者が筆頭発表者として、国際学会にて1回、国内会議にて6回発表した。
  • 日本学術振興会特別研究員(DC1)に採用内定した。

理学部 第一部応用化学科 4年 永塚 健悟君

  • 学業成績が極めて優秀である。勤勉な性格であり、卒業研究を含む学業全般に臨む積極性が素晴らしい。
  • 「長波長応答性金属酸化物および導電性高分子を用いたZスキーム型光触媒シートによる可視光水分解」というテーマで、人工光合成型水分解によるクリーンエネルギーである水素生成に関する卒業研究を行ってきた。人工光合成は資源・環境・エネルギー問題を根本的に解決しうる化学反応であり、学術的にも社会的にも重要なテーマである。そして、光触媒水素製造の実用化を志向した優れた研究成果をあげることができた。
  • 上で述べた卒業研究の研究成果に関して、国際的学術論文を筆頭著者として執筆中である。
  • コロナ禍で実験日数が限られている中、卒業研究に熱心に取り組んだ。その成果として、卒研生でありながらポスターで4回、口頭で1回、計5回の学会発表を行った(発表予定含む)。その中で、光化学討論会では、英語でのポスター発表を行った。
  • 第10回CSJ化学フェスタ2020(日本化学会:所属会員数・24,055人)および第39回光がかかわる触媒化学シンポジウム(触媒学会:所属会員数・2,501人)において、それぞれ優秀ポスター発表賞を受賞するという、卒研生としては輝かしい業績をあげた。このことに対して、他研究機関からの研究者からも賞賛を浴び、本学における卒業研究の高いレベルを学外にアピールすることができた。
  • 学業だけでなく、課外活動にも積極的に取り組んだ。Ⅰ部体育局洋弓部に3年間所属し、学業と両立しながら精力的に活動した。特に、2019年度リーグ戦では、3部から2部への昇格に選手として貢献した。