--------------- Li2MnO3 - LiMeO2(Me = Ni, Co, Mn) ---------------
Li
2MnO
3 – LiMeO
2系固溶体材料は、従来の正極材料
①のように遷移金属の酸化還元だけでなく、酸化物イオンによる電荷補償を用いることで260 mAh/g以上の高容量を示す事から
②、次世代のリチウムイオン二次電池用正極材料として注目されています。
--------------- Li3NbO4 - LiMeO2(Me = Ni, Co, Mn, Fe) ---------------
また当研究室ではこのような酸素放出を抑制しつつ,酸化物イオンの可逆的固相酸化の利用できる物質探索を行った結果、過剰リチウムを含有する遷移金属酸化物Li3NbO4-LiMeO2を見出しました.この酸化物は、これまで一般的であった層状構造やスピネル構造とは異なり岩塩構造を有しており、300 mAh/g近い可逆容量を発現させることに成功しました。
--------------- Li2MoO3 ---------------
当研究室ではO'3型と呼ばれる層状構造を有するLi過剰系正極材料のLi
2MoO
3のカーボンコンポジット電極がMo
4+/Mo
6+の2電子酸化還元反応を利用して約230 mAh/gの高い可逆容量を示すことを見出しました。
当研究室ではLi正極用ラテックス系バインダーとしてSBR/CMCバインダーをLiCoO
2に適用し、従来型バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を使用した場合に比べ電気化学特性が向上することを報告しました。この要因として、SBR/CMCバインダーの結着力がPVdFバインダーよりも顕著に強いこと、充放電サイクル後のLiCoO
2粒子の表面クラックがSBR/CMCバインダーの場合では抑制されていることも見出しました。
Si系材料は、従来の黒鉛負極よりも数倍~10倍近い電池容量をもち、飛躍的な高容量化を実現する材料として期待されています。しかし、Li+との反応時に大きな体積変化を引き起こし、電池特性が急激に劣化するという問題を抱えています。
この問題を解決するためにSi系負極において紙おむつなどに使われているポリアクリル酸ナトリウム(PANa)をバインダーに用いることで、従来型バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を使用した場合に比べ電気化学特性が大きく向上しました。さらにポリアクリル酸をNaOHによる中和、さらに化学架橋を行うことで、さらなる特性の改善が可能であることも見出しました。
また、同様に水溶性天然多糖類をバインダーに用いる検討も併せて行っています。図のように適切な高分子を用いることで安定して高い可逆容量を得ることができています。特にもち米の主成分のアミロペクチンをバインダーに使用してサイクル特性が大きく向上することを報告しました。
さらに当研究室では納豆の粘り成分として知られるポリグルタミン酸(PGlu)が充放電に伴うSi/C合剤電極の電極状態の劣化を抑制し、サイクル特性の向上に大きく寄与することを報告しました。
このほか、Siの酸化物SiOの熱処理や炭素複合条件の検討、またフッ素系添加剤の使用など様々な側面からSi系負極の特性改善に取り組んでいます。